「日産・三菱・ルノー」連合にもう1社加わる可能性も!まさかのホンダはある?
海外逃亡した日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告。2018年11月に逮捕される前、日産と仏ルノーの経営統合を画策していた。「世界の自動車メーカーのトップになる」との野望があったと見る向きが多いが、自動車業界で合従連衡の動きが活発化していることも理由として見逃せない。実際、19年には欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と仏グループPSAが対等合併で合意。販売台数(計約870万台)で世界4位の自動車グループが誕生する見通しとなった。
背景には「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」と呼ぶ新潮流がある。PwCコンサルティング(東京都千代田区)は、CASE対応で自動車本体にかかるコストは30年までに20―40%増えると予想する。自動車メーカーが1社単独で対処するのは難しく、パートナーと協力して事業を効率化し研究開発費を捻出したり、開発作業を分担したりする戦略の重要度が増す。
一方、再編の形は一辺倒ではなくなった。これまでは資本で強く結び付き、規模拡大を目指すのが一般的だった。しかし豊田章男トヨタ自動車社長は「CASE時代は資本力で相手をコントロールする発想では立ちゆかない」と指摘する。対処すべき課題が広範囲にわたり、規模拡大だけでは対処しきれなくなっているためだ。FCAとPSAの経営統合を尻目に、トヨタは業務提携や少額出資という緩やかな連携で「仲間づくり」(豊田社長)を進める。
今後、国内勢では世界販売が500万台規模のホンダの動向が注目される。米ゼネラル・モーターズ(GM)と業務提携するが、まだ資本提携する自動車メーカーはない。現在、ホンダは4輪車事業の収益性向上に取り組んでいる。中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ代表は「よくやく改革が軌道に乗ってきた。22年度以降に成果が出てくるはずだが、厳しい状況が変わらなければ提携などを探る動きが活発化してくるだろう」とみる。
また日産・ルノー・三菱自動車の3社連合の行方も焦点。連合を主導したゴーン被告の退場でほころびが露呈し、シナジー創出力を疑問視する声が強まる。「3社連合が4社目のパートナーを探す動きが出ても違和感はない。それが業界の大再編へのうねりになり得る」(中西代表)。
自動車業界では部品メーカーをめぐる再編も活発化しており、トヨタはグループ内で強みを集約する取り組みを加速し、ホンダは“ケイレツ”解体に動きだした。
完成車メーカー、部品メーカー、そしてITなど異業種も巻き込む自動車業界の多様な再編は今後も続く可能性が高い。裾野の広い自動車産業の大変革は、日本のモノづくりに広く影響を与える。