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地球に優しい小松マテーレ。SDGsは研究を活性化させる

技術の木は全社員の成長と共に
地球に優しい小松マテーレ。SDGsは研究を活性化させる

本社所在地の石川県能美市と協力して親子ワークショップを開催し、地域貢献に一役買う(本社敷地内の体験ラボ施設「ファーボ」で開催)

小松マテーレは地球社会の課題解決に向けた行動指針「小松マテーレ・サステナビリティ・ビジョン」を2020年に策定し、気候変動対策、循環型社会づくりや地域への貢献など五つの項目に整理、統合した。21年度から30年度の環境目標では、13年度比で二酸化炭素(CO2)排出量の30%削減や廃棄物量の70%削減、リサイクル率98%以上と掲げる。目標達成に必要な製品開発など、国連の持続可能な開発目標(SDGs)へも本格的な取り組みをみせている。

同社は16年度から20年度の5カ年計画で地球温暖化防止、化学物質管理、廃棄物削減の各項目において、年々着実に実績を積み上げ、20年度には全項目を達成した。森幸治環境推進室長は「今後10年の行動指針は、今まで培ってきた自信とその延長線上にあるが、期間中に起こりうる規制強化などへの柔軟な対応は必要だ」と語る。取り組みと世相の状況を管理して、他部門と足並みをそろえていく重要性を訴えるほか、自社環境配慮商品「KSP」の拡大も必要だと語る。

その中で開発された「WS糸(速染糸)」は、従来の染色時間を2時間から1時間に短縮、加えて低温で染まるのでCO2排出量を31・7%削減した。また染色効率の高さから染料の使用量を20%削減した。小川直人常務取締役技術開発本部長は「繊維加工という川中に位置する場所から視野を広げ、川上の素材から研究開発を進めた成果。SDGsへの取り組みは、研究の活性化にも大きくつながっている」と強調した。

ただ、海外のアパレルメーカーからは日本の規制を上回る要望が多いという。小川常務は「有機溶剤を使用せず、水系樹脂を活用する研究だけではなく、その要望を聞く最前線にいる営業担当者との情報共有が必要だ」と語る。最近SDGsと研究開発の未来をテーマに「小松マテーレ技術ツリー」として仕上げた。まだ成長途中だが、全社一丸で挑む力を元に青々と茂っていく姿が楽しみだ。


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日刊工業新聞 2022年3月15日

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