車運搬船120隻の配船計画デジタル化、日本郵船が本格運用
日本郵船は世界中で約120隻を運用する自動車専用船の「配船計画」のデジタル化を10月に本格化する。これまで配船計画は熟練の運航担当者が手作業で立てることが多かったが、ウェブシステムを構築してデジタル化を進めることで業務の平準化を目指す。また、平行して人工知能(AI)によって配船計画の最適化を実現するモデルの開発も進めており、2023年度中にも試験運用を始める。
日本郵船は海運業界では世界最大となる約120隻の自動車専用船を運航している。ある専用船をどの港に移動して航海を始めるかといった配船計画は、顧客からの船積みの需要に対して船のスケジュールや積載状況、到着日要望などに加え、港の混雑状況や航路上の天候などを総合的に考慮し、運航担当者が立案する。
ただ、最適な運航計画を割り出すためには、経験を基に計算や関係者と調整をする必要があり、極めて属人的な作業になっているという。今後、業務のデジタル化を進めることで運航担当者の業務量の軽減に加え、配船計画の最適化を推進する。
グループ会社で研究開発を行うMTI(東京都千代田区)とAI開発のグリッド(東京都港区)の3社で共同で進めており、AIモデル導入による配船計画の最適化を目標にデータを蓄積していく。
AIモデルは23年度にも試験導入後、24年度をめどに本格的に導入する。より効率的な配船計画を立てられれば、燃料費の抑制と温室効果ガスの削減が期待できる。
日刊工業新聞2022年5月13日