初のEV専用工場、スバルは2500億円投資で後れを取り戻せるか
SUBARU(スバル)が電気自動車(EV)の生産拡大に向け大型投資に踏み切る。5年でEV関連の設備投資に約2500億円を投じる。12日、国内でEV専用の工場を新設する計画を公表。2027年以降の稼働を目指す。まず既存工場でEV生産に向けた工場の改修を開始。25年をめどにガソリン車とEVの混流ラインを立ち上げ、EVの生産に乗り出す。国内でEV専用工場の建設を表明するのは初めて。他社に後れを取っていたEV生産を強化する。(石川雅基)
スバルは27年以降にエンジンやトランスミッションを製造している大泉工場(群馬県大泉町)に、EV向けの建屋を新設し、専用ラインを整備する。新工場で製造した車両は主力の北米市場をはじめ輸出も行う。同社が工場を新設するのは群馬製作所矢島工場(同太田市)以来約60年ぶり。
まずは25年をめどに矢島工場にガソリン車とEVの混流ラインを設け、独自にEVの生産を始めたい考え。中村知美社長は「工場は小さく始めて大きく(売り上げなどを)生んでいきたい」と力を込める。生産台数は検討中とした。
同社は現時点で、30年までに世界の新車販売の4割以上をEVとハイブリッド車(HV)の電動車にする目標を掲げる。一方で足元のHVの生産比率は5%程度にとどまる。他社よりガソリン車の販売比率が高く、EVシフトが遅れていた。工場を新設してEVの供給能力を高める。「この1年、急速にEVの環境が変わっており注目も高まっている」(中村社長)とみる。
同社はスポーツ多目的車(SUV)タイプのEV「SOLTERRA(ソルテラ)」の予約受け付けを同日開始。生産はトヨタ自動車に委託しており、自社工場での生産はガソリン車が中心だった。
他の完成車メーカーもEV生産に向け投資を加速している。ホンダは24年に中国の2カ所でEV専用工場を稼働予定で、北米でもEV専用生産ラインの設置を計画している。日産自動車は5億ドル(約650億円)を投じて米国ミシシッピ州の工場にEV生産ラインを設け、25年に稼働する。米ゼネラル・モーターズ(GM)はミシガン州でEV工場を稼働した。独フォルクスワーゲン(VW)もEV工場を新設予定だ。