NTTとスカパーJが共同で立ち上げる「宇宙DC事業」の全容
NTTとスカパーJSATは、宇宙にデータセンター(DC)を構築する事業などを手がける共同出資会社「Space Compass(スペースコンパス)」を7月に設立する。資本金は180億円で、折半出資する。将来的に1000億円規模の売上高を目指す。地上・宇宙間の通信の効率化により、環境や自然災害、安全保障などの問題解決につなげる。
宇宙DC事業では、観測衛星などによって収集される膨大な各種データを静止軌道衛星経由で地上へ伝送する「光データリレーサービス」を2024年度に始める。通信速度は既存サービスと比べて約10倍。大容量・準リアルタイムのデータ伝送が可能。従来は観測衛星から地上局に直接データを伝送していた。地上局と通信できるタイミングなどで制約があった。
25年度には国内で、成層圏から地上に通信を届ける「高高度プラットフォーム(HAPS)」を用いた低遅延通信サービスを携帯通信事業者向けに始める。災害発生地、離島やへき地、海上などにも通信サービスを提供しやすくなる。
同日の会見で澤田純NTT社長は「持続可能な社会の実現に向けて成層圏や地球近郊、宇宙空間を、ICT(情報通信技術)インフラ基盤として効果的に最大限に活用することが重要」と述べた。
日刊工業新聞 2022年4月27日