市役所で大活躍する「AIさくらさん」の手腕
ティファナ・ドットコム(東京都目黒区、藤井亮社長)は、人工知能(AI)接客システム「AIさくらさん」を提供する。業務自動化やデジタル化、非対面での遠隔接客に利用でき、ヘルプデスクをはじめ駅や施設のサイネージ形態などで導入されている。労働人口減少や人材流出により国内の生産性低下が加速する中、デジタル変革(DX)推進による業務改革は必須だ。AIの活用で自治体や企業のDX推進をサポートし、業務負担軽減に貢献する。
AI搭載キャラクター「さくら」が接客対応するAIさくらさんは、音声認識や自然言語分析などの機能を持つ音声会話型接客システム。AI接客をはじめ、受け付けの自動化やRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)、テレワークサポート、サイトの改善提案など幅広いシーンでのサポートが可能だ。チャットボットやサイネージ接客、オンライン学習、AI採用面接などでも利用できる。同社は「企業をはじめ自治体や公共交通機関など多くの業種で利用してもらいたい」としている。
2月には、栃木県那須塩原市の市役所庁内の案内役にAIさくらさんが導入された。同市は人手不足の解消と業務効率化のためDXを推進している。AIの活用で庁舎内の行き先案内を自動化し、市民サービスの向上と職員の負担軽減を図る。
AIさくらさんは本庁舎1階の正面玄関カウンター前に設置され、市役所を訪れた市民に音声認識などによる市役所窓口の1次対応を行う。日本語や英語、中国語、韓国語に対応し、市在住の外国人への案内もできる。
新型コロナウイルス感染症の流行を機に、非対面などの技術を導入する動きが鉄道事業者の間でも加速している。ティファナ・ドットコムは南海電気鉄道や近畿日本鉄道と合同で、AIさくらさんによる実証実験を実施中だ。駅での案内サービスの充実を目的に、AIさくらさんを活用した案内用デジタルサイネージを設置した。
利用客が話しかけると、運行情報や沿線エリア情報、道案内情報、観光案内などをAIさくらさんが案内する。外国人観光客からの質問も各言語での回答が可能。1月には、南海電鉄なんば駅に設置中のAIさくらさんに、係員との遠隔通話機能を追加した。サイネージ上で利用客と駅係員を繋ぎ、遠隔通話で案内を行う。
ティファナ・ドットコムは、鉄道利用者との対応機会が増えることでAIが「これまで以上の学習が可能となり、利用者のニーズに沿ったさらなるサポートができる」と話す。(山下絵梨)