事務機の急な部品変更を可能にする、リコーが取り入れた設計法
リコーは急な部品変更にも対応可能な汎用性の高い設計を取り入れたA3カラー複合機を2022年度中に発売する。これまで特定のメーカーで固定していた部品の多くを、他メーカーの部品や同一メーカーの類似品などで代替できるようにする。21年度は部品調達難により製品供給が不足した。特定部品が足りなくなった時でも、代替部品を活用して迅速に製品設計を変更し、評価できるようにする。
リコーはコロナ禍で落ち込んだ需要の急回復、半導体や樹脂部品といった部材逼迫(ひっぱく)の影響により、21年度は複合機などの製品供給が不足した。現行機の生産継続に向け、1000点近くの代替部品を評価し、採用した。
ただ、元々の製品設計が特定メーカーの部品を使用することを想定していたため、設計の変更・評価には時間を要した。
今後は製品開発の段階で複数メーカーの部品でも対応可能な「マルチリプレイスメント設計」を採用。代替部品に変更する場合でも、迅速に製品設計を変更、評価できる。22年度中に発売するA3カラー複合機で使用する電子部品など一部で取り入れる。
これまでリコーは、コスト優先で開発や生産、調達に取り組んできた。ただ、近年のサプライチェーン(供給網)の複雑化に加え、21年から続く部材逼迫や物流混乱を踏まえ、安定供給により一層の力を注ぐ。
例えば生産面では、主力機種を複数拠点で並行して生産できる体制を強化するなど、外部環境変化に強いモノづくり体制の構築を目指す。
日刊工業新聞2022年3月16日