アイシンがCO2 半減へ一手、アルミ溶解炉に施す工夫の中身
【名古屋】アイシンは、2022年度にかけてアルミニウムダイカスト部品を生産する西尾工場(愛知県西尾市)のアルミ溶解炉で、ガスバーナーの出力を制御して二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えるシステムの導入を拡大する。すでに同システムを導入した西尾工場の南棟の7炉に加えて、西棟や北棟の計11炉にも展開する。今回の導入拡大を通じて西尾工場全体のCO2排出量で18年度比5―6%削減につなげる。
アイシンの新しいアルミ溶解炉のシステムは、炉内の排ガス温度やアルミの投入量、アルミ溶湯の必要量といった状況に応じてガスバーナーの出力を制御する。ガスバーナーの出力の制御を柔軟にすることで無駄なエネルギーの発生を減らせる。
これまで同システムを導入した南棟の7炉は20年度にCO2排出量が導入前の18年度の同溶解炉に比べて15%減った。今回の導入で西尾工場の主要な熔解炉への導入が完了する見込みだ。
また電気式加熱などであらかじめ溶解するアルミに熱を加える実証試験にも着手した。従来のガスバーナーに比べて速く温められる。実用化できれば、ガスの使用を減らせてCO2削減につながるとみている。
アイシンは30年度までに生産のCO2排出量について13年度比半減以上を目指す。ダイカストや溶解炉、熱処理は同社のCO2排出量約3割を占める。アルミ溶解炉のCO2削減の取り組みでカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対応を加速させる。
西尾工場の南棟は白を基調に自然光を採り入れるなど働きやすい環境を整備しており、ダイカストの製造現場などのイメージも変えたい考えだ。
日刊工業新聞2022年3月10日