iPS細胞の製造能力3倍、米アイ・ピースが設備増設で応える需要
米アイ・ピース(カリフォルニア州、田辺剛士最高経営責任者〈CEO〉)は、開発・製造受託(CDMO)向けのiPS細胞(人工多能性幹細胞)とiPS細胞由来分化細胞の製造能力を現状比3倍に増強する。子会社の京都市内の製造・保管拠点にCDMO設備としてクリーンルーム・クリーンチャンバーを増設。増強後は製薬会社向け医療用のカスタム製造と個人向け医療用製造・保管サービスを合わせて、年数百株(ライン)となる見込み。投資額は非公表。
医薬品製造品質管理基準(GMP)細胞のグローバルCDMOとして、国内だけでなく、急増する海外需要にも応える。
子会社のアイ・ピース(京都市西京区)のiPS細胞製造・保管拠点に、クリーンルームを増設し、クリーンチャンバーを追加した。既に設備はほぼ完成し、現在試験運用中。医薬品医療機器総合機構(PMDA)によるGMP適合性調査を経て、4月に操業開始する見通し。
同拠点は2021年10月、国内のiPS細胞製造施設として初めて、米食品医薬品局(FDA)の薬品製造施設データベースに登録された。このため、PMDAだけでなく、FDAへの承認申請を予定する製薬会社は、米アイ・ピースの医療用iPS細胞などの製造受託サービスを活用することで、日米両国の規制に適合した臨床試験の加速につながる。
個人向けiPS細胞製造・保管サービスもより多くの人からの要望に迅速に答えることが可能になる。
田辺CEOは、京都大学の山中伸弥教授の研究室出身。15年に同社を設立した。
日刊工業新聞 2022年3月9日