ロシア供給不安の影響は?国際商品相場「燃料・非鉄」が全面高
2月の国際商品相場は、ロシアの資源供給不安に拍車がかかって主要な化石燃料や非鉄金属が全面高の展開となった。アルミニウムが1月末比で1割以上上昇して約13年半ぶりに最高値を更新したほか、原油や天然ガスはロシア制裁の対象をめぐって乱高下しながらも上値を探る動き。3月は米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利見通しや、中国の全国人民代表大会(全人代)で示される経済成長率目標も注視される。
ロシア産が世界シェアの約5%を占めるアルミニウム地金は、ロンドン金属取引所(LME)で2月24日に初めてトン当たり3400ドル台に上昇した。ロシア産が約4割を占めるパラジウムのニューヨーク先物も、用途となる自動車の排ガス浄化触媒や半導体のメッキ材への供給懸念により、足元では1月末比約7%高い。
ニューヨーク原油先物は2月下旬に約7年半ぶりにバレル当たり100ドルを突破したが、欧米が国際決済網から排除するロシア銀行を主要行に限ったことで上げ幅を削った。足元では同90ドル台後半と、欧州天然ガスとともに1月末比で約1割高い水準を推移する。
ただ、黒海では原油積み出しに支障が生じており、「供給が減るようだと100ドル近辺の高値での動きとなる」(野村証券の大越竜文シニアエコノミスト)との見方がある。エネルギーコストの上昇観測で銅が1月末比約4%高いほか、安全資産とされる金も買われて同約6%高い。
3月はウクライナ情勢に加え、米国の政策金利見通しが示される15―16日のFOMCも注目される。ロシア制裁の米国経済への影響は小さいとの見方から、市場は3月を含め年内に6回程度の利上げを織り込み済み。日米金利差の拡大観測を固める展開となれば、日本ではドル高・円安に伴う輸入資源価格の上昇が警戒される。
また、非鉄金属の最大需要国の中国では5日に全人代が開幕し、2022年の経済成長率の目標が示される。22年秋に共産党の最高指導部を決める5年に1度の党大会を控え、減速傾向の景気の下支えにも動くとみられている。
大和総研の斎藤尚登主席研究員は22年の成長率目標を「5%以上」と予測。コロナ禍前の19年実績(6・1%)からは低下するものの、全人代後には21年に2回引き下げられた預金準備率の「もう一段の引き下げがあり得る」(斎藤氏)としている。