アルケリスが開発加速する「アシストスーツ」次世代モデル、試作機を利用者した人たちの本音
アルケリス(横浜市金沢区、藤沢秀行社長)が、自社のアシストスーツ「アルケリスFX」の次世代モデル開発を加速している。このほどマイクロテック・ラボラトリー(相模原市南区)の生産ラインで試作機の実証実験を行った。利用者からは「疲れが軽減できた」との評価が多い一方、「女性には重い」との指摘もあった。藤沢社長は「狙い通りの利点を感じてもらえた。意見を反映し来年度中の発売を目指す」としている。(相模支局長・石橋弘彰)
アルケリスFXは脚部に装着するアシストスーツで、立ち仕事で中腰になるようにかがんだ際、膝などを支えて楽に姿勢を維持できる。歩きやすいモードや移動とサポートを両立するモードを備えるほか、モーターを使わず長時間使用でき、医療や製造業での採用が進んでいる。
実証実験は、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)の支援を受けて実施した。アシストスーツにセンサーを装着してアシスト時と移動時のモードチェンジを腰のボタンで切り替える試作機と、センサー情報から利用者が作業している時間などのデータを取得できる試作機の機能などを確認した。実証実験の結果をフィードバックし、二つの機能を集約した新型アシストスーツの開発に生かす。
実証実験に協力したマイクロテック・ラボラトリーは、小型高精度のエンコーダーやモーターの設計製造を手がける。作業の自動化や環境改善に力を入れている一環で実験を引き受けた。実験では3台の試作機を使い、梱包(こんぽう)や検査、組み立て作業の従業員が従来機と試作機を交互に使い、使用感の違いなどを確かめた。
腰で機能を切り替える試作機を使い、梱包作業を行った阿部麻衣さんは、「注文書と製品を照らし合わせる作業などは楽になった」としつつ、しゃがんで製品を取り出す作業がやりにくく、アシストスーツの取り外しももっと楽にしてほしいと提案した。アルケリスは切り替えを自動化し、次世代機に盛り込みたいとしている。
マイクロテック・ラボラトリーの二関智司社長は「慣れれば使いこなせて利点が出そう。今後も継続使用したい」とし、引き続き協力する考え。さらに、組み立て作業などでもロボット技術を使って作業環境負荷を減らしたいと意気込む。