ブドウやナシの栽培農園をアシストスーツが救う

ダイドーが提供

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アシストスーツを着用し摘花作業を行う

農作業補助スーツ導入

ブドウやナシなど棚栽培の農家では、腕を上げ続ける作業が多いため、肩や首などに負担を感じている作業者も少なくない。農業生産法人の旬果市場(甲府市、小林智斉代表取締役)は、ダイドー(大阪府河内長野市、追田尚幸社長)製の腕上げ作業用アシストスーツ「TASK AR3・0」を5月に導入した。小林代表取締役は「軽いながらもアシスト力は十分ある。自然な動きに近いため慣れるのも早そうだと感じた」と導入を決めた。(編集委員・川瀬治)

旬果市場の作付面積は約600アールで、モモやナシ、スモモ、ブドウ、キウイフルーツ、野菜などを栽培している。おいしい状態で出荷するため「朝採り」にこだわっている農業生産法人だ。

ブドウやナシの栽培は人間の身長よりも高い位置に棚を作るため、腕を上げ続ける作業が多い。薬品処理や摘花、摘粒、袋がけなどの処置を行っていく必要があり、シーズンは一日中継続して作業を行わなければならない。自然が相手なので作業期間も短期間に集中。「特に女性や高齢者が継続的に作業を行っていくには負担軽減が必要で、改善していきたいと考えていた」と小林代表取締役は話す。

腕上げ作業用アシストスーツは、建築現場の天井施工や棚栽培の果樹農園などに見られる、腕を上げ続ける作業の負担を軽減する。腕を上げる動作をすると、アシストが発生。上腕が自然に持ち上がり、上げた状態を保持できる。また腕は完全に固定されるわけではなく、自由に下ろすことができるため、動作が大きく制限されることがないのも特徴だ。

ダイドーが開発したアシストスーツ「TASK AR3.0」

旬果市場は導入する際に、山梨県の「やまなしスマート農業実装事業」の補助金を活用した。「実証事業に協力することで、高齢化が進み担い手が減っている地域全体の課題解決のグッドケースを作ることができ、地域貢献につながれば」(小林代表取締役)と目を細める。

ダイドーは2019年にアシストスーツの初代モデルを開発した。ただ、製品重量が3・9キログラムで同様の製品と比較して軽量ではあるものの、高齢者や女性が長時間使用すると、本体の重さが負担になるという課題があった。新モデルの「TASK AR3・0」の重量は1・7キログラムで、従来モデルの半分以下の重量にした。背部を簡素化し、ショックコードを動力として、滑らかな動きを実現している。5月に発売したところ、1カ月で約20台を販売。このうち約10台が農業向けに使用されている。同社では半年で100台の販売を計画する。

ダイドーはさらに上腕だけでなく、前腕のサポート機能に特化した前腕補助器具「TASK AR+」を開発。旬果市場は、収穫物コンテナの移動や運搬などで前腕補助器具の活用を検討している。ダイドーは「非電力のロボティクスで働く環境の改善を目指していきたい」(同社担当者)としている。建築現場や農園の作業者の負担を軽減する製品開発に注力する考えだ。

日刊工業新聞2021年7月8日

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