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「脱炭素」研究のスタートアップに2億円助成、経産省の目論見

経済産業省は脱炭素に貢献する研究成果の事業化を目指すスタートアップ向けの助成事業を始めた。企業の成長段階に応じて最大2億円を助成する。政府は2050年にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の達成を目指す。実現にはイノベーション創出の担い手である有力なスタートアップの存在が欠かせない。環境・エネルギー分野のスタートアップ支援を強化し、社会実装を後押しする。

脱炭素などエネルギー・環境分野の社会課題解決に向けた研究開発や事業計画を進めるスタートアップを対象にする。起業前・起業直後のスタートアップ向けの助成コースは助成額が最大2000万円。ベンチャーキャピタル(VC)や事業会社が出資を検討していることを示す「出資に関する関心表明書(IOI)」を提出することを求める。

研究開発にめどをつけ、VCや事業会社からすでに出資を受けているスタートアップ向けのコースは助成額が最大2億円。助成率は助成対象費用の3分の2以下とする。助成のほか、経営・経理面を支援する人材も派遣する。事業会社などから「購買に関する関心表明書(EOI)」を取得し、提出することを求める。

同助成制度は環境・エネルギー分野とは別に地方の大学など地域の技術シーズを活用した事業計画を持つスタートアップを対象にした枠も設けた。地方大学には有力な技術シーズを抱えていても社会実装に使われていないケースがある。地域に眠っている有力な技術シーズの掘り起こしにつなげる。

両枠ともに公募締め切りは3月2日。書面・プレゼンテーション審査などを経て5月ごろに採択する。

経産省はESG(環境・社会・企業統治)関連の研究開発に取り組むスタートアップや起業前の研究者らを対象にしたピッチイベントを創設し、3月18日に開く予定。受賞者には同助成制度について優遇措置を講じる。

環境・エネルギー関連の技術やサービスを展開するスタートアップは増えているが、現状は欧米と比較し、日本は少ない。経産省は環境系スタートアップへの投資を促す環境整備も進めたい考え。


日刊工業新聞2022年2月22日

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