民間の新規事業創出へ、経産省が量子技術の国際拠点を整備
経済産業省は量子技術の研究開発から社会実装までの一連の機能を提供できる国際拠点の整備の方針を固めた。量子コンピューターのシステム設計や部品・装置開発、国際共同研究のハブなどの機能を担う新センターを産業技術総合研究所つくばセンター(茨城県つくば市)に創設する。研究開発の初期段階から産業化を見据えた取り組みを進め、民間による新事業の創出を目指す。経産省の2023年度予算概算要求に盛り込む見込み。
16日に開かれた経産省産業構造審議会(経産相の諮問機関)の部会で示された。
国内外の大学、スタートアップや中小企業を含む企業から量子技術の研究開発人材を新センターに集める。一方、ユーザー側として参画する物流や創薬などの業界の企業は資金を提供し、最先端の量子技術を利用したビジネスに生かす。
今まで日本の研究開発ではオールジャパン体制を取っていたが、海外での取り組みが進む中で、積極的に海外の大学や企業が参画できる環境整備を目指す。日本が強みとする「アニーリング方式」の量子コンピューターのアプリケーション(応用ソフト)開発や部品・装置開発によるサプライチェーン(供給網)の構築で、早期の産業化を目指す。国際的な交渉力を高め、経済安全保障上重要となる「ゲート方式」の国際共同研究に対し国際的に有利な立場での参画を狙う。
世界では量子コンピューターの開発競争が激化しており、国際連携を前提とした開発体制の構築が求められている。
日刊工業新聞2022年2月17日