“遠距離恋愛”に強い味方、心拍・体温を伝達する「抱き枕」が生まれた!
金沢工業大学の安達聡子学部生と中沢実教授は、心拍や体温を伝達し、遠隔で抱きしめられる抱き枕を開発した。リストバンド型ウエアラブル端末から心拍などのデータを送り、人形型抱き枕で心音を再生する。腕が動き、相手を遠隔で抱きしめたり抱きしめられる。遠距離恋愛支援システムに提案していく。
人形型抱き枕にヒーターやスマートフォンを埋め込んで利用する。ウエアラブル端末で装着者の心拍を測り、抱き枕で心拍数に応じた心音を再生する。体温はヒーターで再現。離れていても2人が抱き枕を抱いていると、お互いに相手を抱きしめているような感覚になると期待される。
抱きしめられた強さは曲げセンサーで測る。抱き枕の腕はバネ式の骨組みが内蔵されており、モーターで糸を引いて腱駆動のように腕を曲げる。相手を強く抱きしめることはできないが、腕を身体に添わせて包み込むような動作が可能になる。
この方式はモーターが小さくて済み、全体を軽くできる。電池やモーターなどの硬い部品を一つにまとめてぬいぐるみの中に埋め込むなど、抱き枕以外にも利用しやすい。抱いたまま寝てしまうことも考えられるためモーターをつないだ構造は選びにくかった。
研究室で効果を試したところ、遠隔の相手を感じるリアルさがあった。遠距離恋愛に限らず、入院中の母と子どもの遠隔コミュニケーションなど、寂しさや不安の解消につながる可能性がある。3月9日から東京ビッグサイトで開かれる「2022国際ロボット展」で発表する。
日刊工業新聞2022年2月17日