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“グローバル未来ビジョン”へ動き出した大学・自治体はどこ?

2018年、SDGs達成へ相次ぎ動き出す
 2018年は、国連が15年から提唱する持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、地方自治体や地域の大学が相次いで動き始めた年だった。年末の動きを一挙に紹介する。

東北大シンポに河野外相


 東北大学、MS&ADインシュアランスグループホールディングスは、仙台国際センター(仙台市青葉区)で「東北大学SDGsシンポジウム~持続可能な開発目標(SDGs)の達成とグローバル人材~」を開いた。

 SDGsの達成に向けて、人材育成のあり方などをテーマに講演、ディスカッションをした。基調講演では河野太郎外務相ら4人が講演した。河野外相は「SDGsは世界で初めてのグローバル未来ビジョン。すべてのステークホルダーが参加するもの」だとして期待を語った。パネルディスカッションでは須藤勝義国際協力機構(JICA東北)所長ら5人が登壇した。
(2018年12月28日掲載)

金沢工大、SDGs達成にテクノロジー


 金沢工業大学と三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、持続可能な開発目標(SDGs)に掲げられる社会課題の解決に対して、新たなテクノロジーを活用したビジネスや活動を共同で検討を進めるための覚書を締結した。今後、両者は覚書に基づいてSDGsに関する活動や、普及促進を図る。
(2018年12月28日掲載)

県知事の名刺もSDGs


 「この名刺も新しい素材でできている」と自慢げなのは、神奈川県知事の黒岩祐治さん。見た目は紙と同じだが、石灰石が主成分の“石の紙”だ。

 この素材はTBM(東京都中央区)が開発した。紙やプラスチックの代替品をつくれる。森林や石油資源の使用量を抑えるため「SDGs(持続可能な開発目標)の先駆けになる」と期待する。

 県は国から「SDGs未来都市」に選ばれており、SDGsを活用した地域づくりに取り組む。新素材は「SDGsの理念を広げてくれる」と名刺交換が楽しみな様子。
(2018年12月28日掲載)

三井住友海上、中小企業の取り組み支援


 三井住友海上火災保険は「持続可能な開発目標(SDGs)」に取り組む中堅・中小企業の支援を始めた。自治体、地域の経済団体や金融機関と連携して経営者向けセミナーを開催し、企業が実践できる支援メニューを提供する。セミナーは無料、支援メニューは一部有料で提供する。

 セミナーは自治体などと連携し、地域の企業を集めて開く。SDGsの概要や取り組む意義、SDGsを活用した経営戦略の策定方法や事例を紹介する。

 支援メニューはSDGsを事業に落とし込む個別相談に対応する。ハラスメント防止、健康経営、長時間労働是正を助言し、SDGsの目標3、8、10の推進を支援する。他に製品安全や災害対策を有料で提供する。

 中堅・中小企業は大企業と比べSDGsへの取り組みが遅れている。関東経済産業局が管内500社を調査したところ、認知度は約16%。今後、大企業が取引先にSDGsへの取り組みを求めてくる可能性があり、地域の中堅・中小企業も対応が必要となりそうだ。
(2018年12月28日掲載)

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梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
SDGsは大企業が調達をする時の新たな要件や参考情報になりえるため、2019年はより多くの企業が目を向けることになると思います。とはいえ、日本では社会貢献を考えてビジネスをしている企業が多いので、あまり身構える必要はありません。まず知って、自社の取り組みがSDGsの何に当てはまるか考えることが大事です。

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