トップ級研究員の層厚く。NTTが検討する新人事制度の中身
NTTは通信関連技術の基礎研究を担う従業員の人事制度を改定する検討に入った。世界で評価されている研究者に「特別研究員」などの称号を与える枠組みを、2022年度にも拡充する見通し。優秀な人材を厚く処遇し、研究開発力の向上につなげる。称号を持たない管理職については、職能資格制度の要素を残しつつ、NTTグループの主要事業会社で導入されている「ジョブ型」との整合性に配慮した新制度を模索するとみられる。
現在の称号には、特別研究員のほかに「上席特別研究員」「フェロー」がある。この称号制度を22年度にも拡充する方針。具体策は検討中だが、特別研究員の対象を広げて人数も増やしたり、新たな称号をつくったりする案が浮上している。優秀な人材の処遇を改善してトップ級の研究員の層を厚くし、研究開発力の向上を図る。
称号を持たない研究所の管理職についても人事制度を見直す。NTTグループの主要事業会社では、職務内容に応じて処遇するジョブ型の適用範囲を21年10月に全管理職へ拡大した。一方、研究所の管理職は能力に応じた処遇を行う職能資格制度が適用されている人も存在する。「研究者はポストではない。基礎研究に近い部分は、どちらかと言えば職能の方がなじむ」(島田明NTT副社長)との判断が背景にある。
ただし今後は優れた人材の登用を促進する観点で年功要素を廃止し、研究開発能力と、それに基づく役割に応じて格付けをする方向で検討を進める。事業会社との人事交流を円滑化する狙いもある。現在、職能資格制度を適用中である研究所の管理職が事業会社の管理職を務める期間は、ジョブ型に基づく処遇を行っている。この運用は、研究所の人事制度の見直し後も続く予定という。
NTTの研究開発要員数は、21年4月1日時点で2116人。
日刊工業新聞2022年1月7日