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人工筋肉にカーボンナノチューブを活用! 日本ゼオンが介護・医療の現場での運用見込む

人工筋肉にカーボンナノチューブを活用! 日本ゼオンが介護・医療の現場での運用見込む

CNTを誘電エラストマーに用い、8キログラムのおもりの持ち上げに成功した

日本ゼオンは、カーボンナノチューブ(CNT)を用いたアクチュエーター(人工筋肉)の実用化にめどを付けた。伸び縮みが可能な電極でエラストマー(弾性を持つ高分子)をはさみ、筋肉を模した誘電エラストマー(DE)に、CNTを活用。0・95グラムのDEを用い、8キログラムのおもりを88ミリ秒(ミリ秒は1000分の1)で、1ミリメートル以上持ち上げることに成功した。開発を進め、介護などのアシストロボットアシストロボットや義足・義手、医療分野などでの活用を見込む。

アクチュエーターや誘電エラストマーなどの研究を手がける千葉科学研究所(東京都目黒区)の知見も活用した。1―2年後にはパワードスーツの実用化、数年後には電気自動車(EV)駆動レベルの技術に引き上げたいとしている。

CNTは炭素原子が蜂の巣状で結合した、直径がナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの円筒状の物質。複層層の多層CNTと単層CNTがある。特に単層CNTは軽量で強度と柔軟性が高く、電気や熱の伝導性が優れているが、量産が難しい点が実用化のネックになっていた。

日本ゼオンは、単層CNTの合成法であるスーパーグロース法を発展させた量産技術を開発。2015年に徳山工場(山口県周南市)内で、CNTの量産工場を稼働した。実用化に向け、産業技術総合研究所(産総研)などとの連携を進めてきた。

日刊工業新聞2020年12月2日

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