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カーボンナノチューブでコロナ5分判定、唾液検査もできる技術の仕組み

カーボンナノチューブでコロナ5分判定、唾液検査もできる技術の仕組み

(右)検体にレーザーを当て蛍光を計測 (左)新型コロナウイルスを検出する実用試作装置(米MIT提供)

米マサチューセッツ工科大学(MIT)はカーボンナノチューブ(CNT)をセンサーに使い、検体の新型コロナウイルスを5分以内で高精度に検出できる技術を開発した。空港などの現場で検査に使える。これまで難しいとされていた唾液による新型コロナウイルス検出にも成功した。

レーザー光でCNTが蛍光を発する原理を応用。両親媒性ポリマーの疎水性部位をCNTに結合し、もう一方の輪が重なった親水性部位で新型コロナウイルス特有のたんぱく質を捕捉する。それによって変化するCNTによる蛍光ピーク波長強度を検出し、ウイルスの有無を判定する。

新型コロナの遺伝子を包むヌクレオカプシドたんぱく質と、表面のスパイクたんぱく質に対応。検体1ミリリットル当たり2・4ピコグラム(ピコは1兆分の1)以上のウイルスたんぱく質が計測できる。

すでに実用試作段階にあり、商用化を目指す方針。他の感染症などの病原体検出にも応用できる。

これまでは炭水化物や消化酵素の存在から唾液でのウイルス検査は困難だったが、新技術により、新型コロナのヌクレオカプシドたんぱく質を唾液から検出することができた。

成果は米国化学会(ACS)の「アナリティカル・ケミストリー」に掲載された。

日刊工業新聞2021年10月28日

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