IoTでトラック運転事故を減らす!日立が新システム10万台導入へ
日立製作所は日立物流と共同で、新開発のIoT(モノのインターネット)ドライブレコーダーを活用した安全運転支援ソリューションの提供を2021年度内に始める。輸送業界は慢性的な運転手不足に加えて、高齢化により健康起因の交通事故が多発している。得意のデジタル技術を使って、ネット通販全盛時代の重要インフラ維持に貢献する。今後5年間で車両約10万台の導入を目指す。
開発した通信型IoTドラレコは加速度センサーやジャイロセンサーなどを搭載し、衝撃や急加減速、急ハンドルなどの危険な事象を検知する。
また、画像認識用人工知能(AI)でフロントカメラの映像から前方車との衝突や車間距離の異常を、車内カメラ映像からわき見運転や居眠り運転、スマートフォン操作などを見つけ出す。即座に通知を受けた運行管理者がドライバーに対して注意の連絡を入れて重大事故を未然に防ぐ仕掛けだ。
安全運転支援ソリューションではドラレコとともに、運転手が心拍センサーを装着して常時、生体情報を取得する。事故リスク予測アルゴリズムを基に各種データを解析し、走行中の運転手に警告音を発する。
日立製作所などは現在、輸送事業者数社と概念実証(PoC)を行っており、21年度内の正式導入を目指す。日立物流は19―20年度の2年間で全自家車両に同ソリューションを導入済みだ。
同社では危険運転や法令不順守などの総インシデント(ヒヤリ・ハット)発生件数が導入前と比べて94%減少した。副次効果として安全運転を徹底したことで、燃費も約6%改善したという。
日刊工業新聞2021年12月16日