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赤目が起こるのはなぜ?意外と知らない目の役割

おすすめ本の抜粋「眼科119番 第3版 一家に一冊…目の薬箱」

目の役割

Q.どのようにして物を見ているのですか。
A.目はカメラにたとえられ、とらえた映像を視神経により脳に伝え、物として認識しています。

ビデオカメラとしての目

目は焦点を合わせることにより像をとらえるカメラにたとえられます。角膜(かくまく)、水晶体(すいしょうたい)の二枚のレンズにより光を集め、網膜(もうまく)というフィルムに像を結ばせ、その像を視神経というコードで脳に送り、物を“認識”しています。網膜にしっかりとピントが合えば物はくっきり見えるのですが、手前でピントを結んでしまうとぼやけた像が網膜に映ることになります。この状態が近視です。また、虹彩(こうさい)という絞りで瞳孔の大きさを変化させ、目の中に入る光の量を調節しています。すなわち、明るいところでは瞳孔は小さく、暗いところでは大きくなり、物を見るのに最適な量の光を得ています。また、水晶体はカメラでいうオートフォーカスの機能を果たしており、毛様体(もうようたい)という筋肉を使ってその厚みを変えることにより、遠くから近くまでピントが合うように、いわゆる“調節”をしています。この機能が衰えてくることを“老眼”と言います。

目の中の機構

これらの機能を維持し、スムーズに行うために目の中にはいろいろな機構(組織)が働いています。まず、眼球の形を維持し、目の中の血管のない組織である水晶体や角膜に栄養を与えるための水である房水というものが循環しています。房水(ぼうすい)は毛様体という場所でつくられ、栄養を与えた後、虹彩の付け根の隅角部(ぐうかくぶ)から排出されます。この循環が障害され、必要以上に房水で満たされ、圧が高くなり、神経を障害する状態が緑内障です。

網膜や虹彩などは豊富な毛細血管を持ち、血液により栄養を得ています。眼球の中には硝子体(しょうしたい)というゲル状の99%水分でできている透明な組織があり、眼球を形づくるとともに、網膜を紫外線から守っています。 網膜はカメラでいうとフィルムにあたりますが、形、色、明るさを感知する感覚細胞が一億個以上存在し、そこで映像をとらえています。とくに中心部にある“黄斑部(おうはんぶ)”と呼ばれる部位には形や色を感知する細胞が密集しており、いわゆる視力にとっては最も重要な部位になります。

また、目の周りには見ることの補助的な役割をしている付属器と呼ばれるものがあります。まぶた(眼瞼 (がんけん))、結膜(けつまく)、涙腺(るいせん)、外眼筋(がいがんきん)などがそれです。まぶたはまばたきをすることにより目を乾燥や外界からの刺激から守り、結膜は目を覆うことにより保護しています。涙はまぶたの奥にある涙腺から分泌され、角膜に栄養を与えたり、乾燥から防いだり、洗い流したり、殺菌をするなど目表面にとって非常に重要な働きをしています。物を追い、両目を上手にバランスして動かしているのが外眼筋で、片目に6本ついており、脳神経により支配されています。

このように目や目の周りには無数の器官が存在し、それぞれが精密機械のごとく繊細かつ重要な働きをしており、“物を見ること”すなわち視覚をつかさどっています。

写真を撮ると瞳孔が赤く光るのはなぜ?

いわゆる赤目という現象ですね。眼球の壁は、内側から網膜、脈絡膜、強膜という膜状の組織が重なってできています。網膜は神経の集まりで、カメラのフィルムに当たり、半透明です。脈絡膜は血管の集まりです。

目の中に入ったフラッシュの光は奥の壁に達すると、ほとんどは網膜を通過し脈絡膜で反射して返ってきます。このとき脈絡膜血管の血液の反射で、赤い色になるのです。

赤目が起こるのは、第一に視線が完全にカメラの方向を向いていることが必要です。第二に、フラッシュの光の焦点が網膜に合っていることも必要です。裸眼で生活している人で、まったく遠視も近視もない人は稀ですが、よく合ったメガネやコンタクトレンズを使っていれば、焦点は5メートルに合っているでしょう。ただし、メガネではフラッシュの光はかなりメガネのレンズで反射するため、赤目にはなりません。5メートルくらいの距離から数人で撮る集合写真の場合、コンタクトレンズを使用している人に、赤目が多いのはこのためです。

(「眼科119番 第3版 一家に一冊…目の薬箱」p.22-25より抜粋)

<書籍紹介>

ディスプレイを見る機会が多い現代人の眼は、常に酷使されている。加えて高齢社会を迎え、白内障や緑内障といった加齡性疾患の問題もクローズアップされている。本書では、身近な眼疾患や日頃目について抱く疑問などをQ&Aでやさしく解説。近視矯正手術や最先端治療についても詳細情報を提供する。

書名:眼科119番 第3版 一家に一冊…目の薬箱
編著者名:中村友昭
著者名:名古屋アイクリニック、中京グループ眼科医師
判型:四六判
総頁数:268頁
税込み価格:1,650円

<執筆者>
中村友昭(なかむら ともあき)
所属 名古屋アイクリニック院長
専門領域 角膜疾患、ドライアイ、屈折矯正手術
現在の研究分野 屈折矯正手術における視機能

<販売サイト>
Amazon
Rakuten ブックス
日刊工業新聞ブックストア

<目次(一部抜粋)>
Ⅰ 目の仕組み
Ⅱ よくある眼疾患から緊急疾患まで
緊急疾患/よくある眼疾患/子どもの眼疾患/若者に発症する目の病気/加齢性疾患
Ⅲ 屈折異常
Ⅳ その他の目の疾患と検査
目と全身疾患/現代人と目/スポーツと目/眼科の検査
Ⅴ 眼科治療最前線

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