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「量子計算機」研究開発で巻き返す、政府が計上する360億円の使い道

政府は量子コンピューター実現に向けた基盤技術の開発を加速するため、2021年度補正予算案に360億円を計上する。既存のスーパーコンピュターの性能をしのぐ量子コンピューター実現に向け、欧米や中国の政府・企業が巨額投資を相次ぐ中、日本も巻き返しを図る。ハード・ソフト両面から研究開発を進め、50年ごろの実用化を目指す。

政府の大型研究開発支援事業「ムーンショット型研究開発事業」の一環。21年度補正予算案に量子コンピューターの実現に向けた研究開発として360億円を盛り込む。同事業全体としては800億円を充てる。

同事業は18年度に開始。18、19の両年度の補正予算として計1200億円が計上され、七つの研究を進めていた。量子コンピューターなどの技術開発が急がれる中、研究を一層促進するため、21年度の補正予算案として新たに計上した。

具体的には量子コンピューター実現のカギとなる基礎技術のうち、誤りを直しながら正確に計算する「誤り耐性」の技術の確立などを目指す。確立すれば、大規模な集積化を実現しつつ、十分な計算精度が保証でき、さまざまな産業用途で応用が期待できる。50年までに誤り耐性型汎用量子コンピューターの実現を目指す。

量子コンピューター開発をめぐってはグーグルやIBMなどの米大手企業のほか、中国科学技術大学など中国の研究機関も画期的な研究成果を相次いで発表。日本も量子コンピューターを含む量子技術の国際拠点づくりに着手したほか、21年9月にはトヨタ自動車、NTT、東芝などの参画する協議会が発足するなど、官民挙げた取り組みを進めている。

日刊工業新聞2021年11月26日

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