バッテリー不要でUV量測定、立命館大が開発したシステムの仕組み
立命館大学の道関隆国教授らの研究グループは、バッテリーなしで、太陽光の紫外線(UV)量をリアルタイム測定できるシステムを開発した。衣服や帽子などに装着して使うウエアラブルセンサーデバイスとして、美容やヘルスケアの分野での応用を想定する。太陽電池一つとフォトダイオードを用いた独自の電源回路構成で、従来のバッテリーレスUVセンサーで課題だったリアルタイム・ハンズフリーの計測が可能になる。
新型のバッテリーレスUVセンサーシステムは、人体が長時間浴びるとしみやしわ、皮膚がんなどの原因となり得る「UV―A」「同B」の量を測定できる。計測データを低消費電力の近距離無線通信「ブルートゥース・ロー・エナジー(BLE)」でスマートフォンなどに送信する。
太陽電池で発電した電力は入力レギュレーターでセンサー回路の電源電圧が一定になるように制御し、センサー回路に発電電流を給電しながら残りを蓄電用コンデンサーに充電する。センサー回路のセンシング用コンデンサーが充電時には、無線機に電流は送られずグランド(GND)へ排出され、充電終了時に蓄電用コンデンサーの電力が無線機に供給される仕組み。無線信号間隔でUVセンシング量を検知する。
従来のバッテリーレスUVセンサーは近距離無線通信「NFC」を用いており、計測時にはスマホとデバイスを近づける必要があった。加えてUV総量しか測れず、いつ、どのくらいのUVを浴びたのかが分かるといったリアルタイム性に欠けていた。
今後は新システムを活用し、美容やヘルスケア関連、システム開発企業などと連携してUV量が一定の数値を超えるとスマホから警告音が鳴るシステムの開発などを検討する。
日刊工業新聞2021年11月5日