自動運転のキーデバイス「LiDAR」の次世代技術、大阪のセンサーメーカーが挑む
北陽電機(大阪市西区、尾崎仁志社長)は、米国のスタートアップと協業し、次世代センサーの開発に乗り出す。レーザー光を使った高機能センサー「LiDAR」の次世代技術に位置付けられる周波数連続変調(FMCW)方式センサーで、ロボットや産業用途での市場開拓を進める。両社はまず、2022年1月に米国で開催される展示会「CES」でデモシステムを共同で実演する計画。
協業するのはSiLCテクノロジーズ(カリフォルニア州)。同社はFMCW方式のLiDARを実現する半導体などを開発している。同社の技術を使ったLiDARは、従来の飛行時間(TOF)方式のLiDARと比べて検出距離が長く高精度で、対象物の速度情報や材質情報なども得られる。
北陽電機は、これらの特徴が生かせる高付加価値の製品開発に向け、新規市場の開拓を進める。すでにSiLCから産業用途仕様の評価用デバイスの供給を受けており、量産製品として必要な仕様なども固める。
LiDARは自動車向けに自動運転のキーデバイスとして注目されているが、FMCW方式は次世代LiDARとしてスタートアップや自動車業界を中心に開発競争が始まったところだ。
北陽電機は従来式LiDARを無人搬送車(AGV)や自律移動ロボット(AMR)、半導体工場の天井走行無人搬送車(OHT)など向け測域センサーとして展開。20年度の売上高107億円のうち61億円を占める主力事業だ。FMCW方式でもいち早く産業用途で製品展開することを狙い、SiLCと戦略的な協力関係を築くことにした。
日刊工業新聞2021年10月19日