三井住友海上が「グローバル幹部」育成、初の研修の中身
三井住友海上火災保険は、海外グループの経営幹部候補を対象とする研修を始める。グローバルベースでの経営幹部育成研修は初めて。本社マインドの醸成やネットワーク作りの機会を提供する。本社との合同研修で、国内からは駐在経験こそないが優秀な課長クラスが参加、グローバルの視座を養うことを助ける。「グループ一体経営」を推進し、持続的成長と企業価値向上につなげる。
海外現地法人からは近い将来経営に携わる可能性が高い24人が参加、国内からは3人が参加して多様性理解やグローバル視点の獲得をサポートする。計27人の参加者はディスカッションを中心とする研修に備えて事前課題に取り組み、当日の成果最大化を図る。研修は1回につき約2時間で、前期・後期の計12回を予定する。
研修により、グローバルリーダーに必要と考える「リーダーとしての個の確立」や「課題解決能力」など主に四つのコンピテンシー習得を支援する。外部の研修会社も活用し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)やデジタル化といった実務的なテーマから失敗体験の分析、絆の形成と対話といった多様なトピックで議論を交わす。
三井住友海上火災保険は2020年1月に地域持ち株会社体制を廃止し、三井住友海上の海外事業体制を強化する海外事業の組織再編を実施した。本社が現地法人を直接管理することで、スピード感のある意思決定や迅速な事業運営に移行する狙いがある。研修は海外の経営幹部候補の力量を可視化することや、両拠点間でのノウハウ共有・意見交換を推進する狙いもあり、再編後の現体制を強く補完しそうだ。
日刊工業新聞2021年9月2日