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農林中金が「森林再生プロジェクト」を立ち上げた狙い

農林中金が「森林再生プロジェクト」を立ち上げた狙い

コウヨウザンを再造林して低コスト化を図る

再造林実証、林業の持続可能性支援

農林中央金庫は国内林業の持続可能な経営を支援している。全国森林組合連合会(全森連)に協力し、森林を再造林するプロジェクトを2020年7月に立ち上げた。戦後続く林業の構造改革を促し、低コスト化につなげる狙いがある。

農林中金は全体のコーディネートを担い、企画や関係者の調整を担う。山田俊明食農法人営業本部営業企画部森林班部長代理は「農林水産業が元気であってこその我々」と取り組みの意義を説く。農林中金は農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関だ。林業を支援することは自身に直結する。

戦後に杉やヒノキを植えた人工林が50年以上たち、伐採して新たに植林する時期を迎えている。全森連などはコウヨウザンという品種を植林する実証実験を全国3カ所で始めた。コウヨウザンは成長が早く、30年で伐採を迎えるため、植林から伐採までのサイクルを20年短縮し、事業コストを削減できる。

再造林で狙う効果

実証は長野県の根羽村森林組合、宮崎県の都城森林組合、広島県の三次地方森林組合で約1ヘクタールのエリアで実施。伐採と植林を長野と宮崎では終え、広島では9月に予定する。

植林では、コンテナ大苗という仕組みを採用した。専用容器である程度大きくした苗木を植林することで、育ちやすい。別の利点もある。下刈り、いわゆる草刈り作業の回数を少なくできる。下刈りは夏場の重労働で、コストもかかる。

別の工夫もある。植林は1ヘクタール当たり3000本が一般的だが、1500本にした。密度を低くすることで間伐作業が不要になり、コストを削減できる。日本農林規格(JAS)で太い幹の木材も認められている現状に合わせた。

実証は5年間で、事業化する場合のコストを検証する。

21年3月には全森連と農林中金主催でシンポジウムを開き、浸透を図った。実証結果は自治体などに情報提供する方針で、同様の取り組みが全国各地に広がることを狙う。

日刊工業新聞2021年8月26日

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