コロナ禍でコンビニの野菜販売が定着したワケ
大手コンビニエンスストアで野菜販売が定着してきた。もともと一部店舗でキャベツやキュウリなどを販売してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で住宅地にあるコンビニを中心に、野菜の需要が拡大してきた。客が“密”のスーパーマーケットを避け、自宅近くのコンビニをミニスーパーのように利用する人が増えているのが理由で、コンビニ各社も需要を捉える狙いだ。
ローソンは7月31日に全国の店舗に専用売り場「新鮮野菜市」を設置した。ジャガイモやタマネギなどの野菜約20種類を扱う予定で、本部が週ごとに扱う野菜を決め、その中から各店のオーナーが選んだ野菜が店頭に並ぶ。価格は100円から300円程度。全店舗で流通させることにより、従来価格よりも約1割程度下げた。「自宅で調理する人が増えて、野菜を購入したいという要望に応えた」(ローソン)。
セブン―イレブン・ジャパンでもこれまで店舗オーナーの裁量で野菜を扱ってきた。現在は、都内東部の住宅地にある店舗で品ぞろえを強化したテストを実施している。「スーパーと同じでは意味がない」(セブン―イレブン・ジャパン)との考えのもと、従来は本部が推奨していた2個入りトマトを1個にしたり、4分の1サイズのキャベツ、1本を半分にしたネギなど「使い切れる量」を販売している。こうした試行により「お客さまの反応を調査中」(同)という。
ファミリーマートでも一部店舗で野菜を販売している。今後は8月末の伊藤忠商事による株式の公開買い付け(TOB)成立後に、全国農業協同組合連合会(JA全農)と農林中央金庫がファミリーマート株を保有することで、JAの農産物を販売する予定だ。
新型コロナの影響で、野菜のほか酒類などの販売も堅調に推移しており、これまでスーパーが得意としてきた領域でコンビニとの競争が始まっている。