世界で電動車の普及を後押し。大日本印刷が開発した「ワイヤレス充電用シール型コイル」の実力

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大電力対応のワイヤレス充電用シート型コイルの充電イメージ

大日本印刷は11・1キロワットの大電力伝送に対応したワイヤレス充電用シート型コイルを開発した。従来試作機では日本の一般的な家庭における電気自動車(EV)充電のみ可能だったが、今回開発したコイルは日本よりも電圧が高い欧米の一般家庭でも使える。国内外の自動車メーカーやシステムメーカー、道路などのインフラ業界などに訴求する。2025年に量産し、同年までに50億円の売り上げを目指す。世界的な電動車の普及を後押しする見通しだ。

駐車から自動、大電力

大日本印刷はこれまで3・7キロワットの小電力伝送に対応したワイヤレス充電用シート型コイルを開発済み。ただ同コイルは米国自動車技術会(SAE)が定める3段階の規格のうち低位水準に対応するのみ。欧米メーカーが採用を進める上位水準規格には対応しておらず、海外展開に向けて大電力化する必要があった。新技術の開発で市場が一気に広がる。

ワイヤレス充電は非接触で充電できる。ケーブル接続の手間を省き、充電作業の煩雑さを解消する。センサーやカメラによってハンドル操作を不要とする「自動駐車」に欠かせない技術として注目される。例えば自宅や商業施設の駐車場などに設置したコイル上に自動で駐車し、充電を始められる。

大日印は、金属の微細加工技術を応用して薄型・軽量のシート型コイルを開発した。厚さ約3ミリメートル、重量約1キログラム。一般的なリッツ線を用いたコイルと比較して厚さ・重量ともに約4分の1に低減したのが特徴だ。さらにコイルの外側に磁界が漏れにくい構造で、充電時に人体やペースメーカーに影響を及ぼす「漏えい磁界」を抑えられる。送電、受電両方のワイヤレス充電システムに対応する。

EV以外では倉庫や工場で使われる無人搬送車(AGV)向けを見込んでおり、23年の実用化を目指す。AGVは設置スペースが小さく、同社の薄型のシート型コイルの活用が見込めるという。

富士経済(東京都中央区、清口正夫社長)が20年に発表した調査によると、EVやプラグインハイブリッド(PHV)など向けのワイヤレス給電用送電装置の世界市場は35年に19年比753・8倍の3769億円になる見通し。

日刊工業新聞2021年8月4日

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