顧客通話をAIで解析!三菱UFJモルガンが導入する狙い

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三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、営業提案の質向上と顧客本位の業務運営強化にAIを活用する(東京・大手町の本社)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、営業員と顧客との通話記録のデータを人工知能(AI)で解析するシステムを9月に導入する。株式の売買手数料だけでなく、投資助言サービスを通じて顧客の預かり資産残高を増やすアドバイザリー型の収益構造への転換を進める中、営業員の提案の質向上を図る。また顧客が望まない取引を未然に防止するといった顧客本位の業務運営の強化にもつなげる。

AIで通話記録を解析するに当たり、通話内容をテキスト化し、それをAIで分析する。顧客の意に沿わない取引につながりそうなキーワードをAIに学習させてリスクを定量化する。トラブルなどが発生した後のモニタリングではなく、未然防止に重点を置く。

全営業員の携帯電話や固定電話での通話量は、音声をテキスト化したもので換算すると1日当たり約15万メガバイトに上る。現在、顧客への提案や連絡状況を記録する日報は約10メガバイトしかない。AIを用いて膨大な通話量の中から内部管理責任者が正しい取引ができているかを判断しやすくする。

ある1日の音声データは翌々日にはテキスト化の上、スクリーニングされたものが内部管理責任者に配信される。1日約1万件の受注がある中、これまでは通話記録の中からリスクが高そうな部分を探りながら実際に音声を聞いて確かめる必要があった。1日に平均4時間も担当者が通話録音を聞かなければならないなど手間とコストがかかっていた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、営業部門に販売ノルマの廃止や7―10年の顧客長期担当制を導入。対面営業を富裕層と法人に特化することなどにより、アドバイザリー型への転換を促進。収益全体に占めるストック資産の割合を5割に引き上げる計画で、AIの導入はその一環。

日刊工業新聞2021年7月28日

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