三菱UFJ証券が富裕層向けビジネス展開へ、ウェルスマネジメント部員を増員
三菱UFJ証券ホールディングス(HD)は、富裕層ビジネスを拡大する。2年以内に富裕層向け資産運用に対応するウェルスマネジメント本部の人数を増やし、現時点の600人から1000人増の1600人体制にする。サービスを手厚くすることなどで富裕層顧客の資産を増やし、手数料収入を押し上げる。
ウェルスマネジメント本部は、総資産3億円以上(金融資産以外を含む)の顧客が主な営業対象。2年以内に、同社傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)から営業員1000人を取り込む。
“人生100年時代”を迎え、相続対策や事業承継などが注目される中、幅広いニーズを捉えて顧客数を伸ばす。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の銀行や信託銀行と連携しながら、顧客に最適なソリューションを提供する。
富裕層顧客の資産を増やして手数料収入の拡大につなげる。預かり資産残高に応じて手数料を受け取る仕組みを取り入れているが、現時点で収益に占める割合はそれほど多くないという。預かり資産残高を伸ばすことにより、この仕組みで得る手数料収入を増やして、数年以内に収益全体に占める割合を5割まで引き上げる計画だ。
インタビュー/三菱UFJ証券ホールディングス社長・荒木三郎氏 顧客の資産増、確実
三菱UFJ証券HDの荒木三郎社長に今後の戦略と展望を聞いた。(高島里沙)
―8月に傘下のMUMSSと三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券(現MUMSS)が統合しました。シナジーは。
「MUMSSの多様な商品サービスをPB証券の顧客にも提供できる機会が広がる。2019年4月の改革から1年半が経過し、PB証券に近い文化に近づきスムーズに統合できた。アドバイザリー型を20年以上続けるPB証券に人材育成や営業手法を学べば、早期にシナジーが出る」
―預かり資産残高に応じた手数料収益の割合を全体の5割に引き上げるところに目標を置きました。
「簡単なことではないが、数年内には到達していかないと競争には勝ち残れない。インターネット証券との競争もあり、手数料をもらわない商品も増えている。預かり資産残高が増えることは、我々の手数料収益が増えるだけでなく顧客にとっても資産が増えて良いことだ。(売買取引と違って)利益が相反しない形で営業できるため、営業員の満足度も高まる」
「市場が変動し、顧客によってリスク許容度も違う中で確実に資産を増やせるようにしないといけない。営業方針が変わり、最初は業績も落ち込んだ。ただ6月以降、リモートワークの整備や出勤率の向上で勢いが出始め、20年上期の個人(リテール)部門は目標クリアの段階まできている」