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ネットより手厚く対面より手軽、「バーチャル店舗で投資相談」の実力

三菱UFJモルガン・スタンレー証券が提供開始
ネットより手厚く対面より手軽、「バーチャル店舗で投資相談」の実力

バーチャルの「フィンシェルジュ」が投資相談をサポートする

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、メールやチャットなどで投資相談を受けるバーチャル店舗「MUFGテラス」を2018年11月から始めた。ユーザー自身が選んだバーチャルの担当者「フィンシェルジュ」が付き、相場状況の把握や投資相談ができる。

 インターネット証券が台頭し、従来の対面型の証券営業は富裕層顧客の争奪戦が激しくなっている。一方、ダイレクトメール、電話、訪問による提案は衰退するなど、環境は変化している。

 取り扱う内容も株式や投資信託、債券、税制など多様化し、「一人で全てに対応することは難しい」と、江面幸浩オムニチャネル企画部長は課題を話す。

 MUFGテラスの特徴の一つ「マーケットAI」は、マーケット情報をチャット形式で回答する自動チャットで、日本株や米国株などの情報に加え、事務手続きも案内する。

 高度な質問には有人チャットの「フィンシェルジュ」が対応する。フィンシェルジュは複数のオペレーターが担い手となって相談に応じる。

 フィンシェルジュのキャラクターは当初は4人でスタートした。それぞれに出身地や誕生日、好きな食べ物や言葉、モットーなどの個性を持たせた。今後、ユーザーの利用状況などに応じてフィンシェルジュが“昇格”する機能を設けることなども検討する。

 証券会社にとって、バーチャル店舗は営業員や店舗数の少ないエリアをカバーしたり、営業店を軽量化して、営業店の対面営業員を重要な顧客への対応にシフトさせるなど、効率化を図ることも期待できそうだ。

「ネット証券より手厚く、対面よりも手軽に」というコンセプトを打ち出し、どこまで新しい顧客を獲得できるかが注目される。(浅海宏規)
日刊工業新聞20191月4日

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