今日から決算発表が本格化。長引く「米中対立」、どの企業が厳しい?
東京証券取引所に上場する3月期決算企業の2019年4―9月期の決算発表が28日から本格化するのに伴い、20年3月期業績予想の下方修正が増えそうだ。米国と中国の貿易摩擦が長期化している影響で、機械各社の業績は落ち込む見通し。自動車業界も海外販売の低迷が影を落とす。米中対立に加えて欧州経済が減速しており、上場企業の業績の反転には時間がかかるとみられる。
東証が24日時点でまとめた決算発表予定の集計によると、31日に全体の14%に当たる335社が開示する。決算集中日が11月8日で、同16%の388社が発表する。米中対立の長期化で上場企業の収益力が揺らいでおり、野村証券が9月に発表した企業業績見通しでは、金融を除く主要307社の19年度経常増益率が前年度比0・2%にとどまる。しかも19業種のうち経常利益を下方修正したのは14業種に上る。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の斎藤勉シニアストラテジストは、世界経済の不透明感を背景に「設備投資を控える動きが止まらない」と指摘する。川崎重工業が20年3月期の経常利益を前回予想比200億円減の410億円に下方修正した。ロボット事業が落ち込むのに加え、想定為替レートを円高に見直したのが響く。
自動車業界も販売不振や為替変動で業績が下振れする可能性がある。すでにスズキはインドの4輪車市場の低迷などで20年3月期経常利益を同1200億円減の2200億円に下方修正した。自動車各社にとっては中国市場の落ち込みも懸念材料だ。サプライチェーンの企業にも影響が広がり、「自動車向けの電子部品や素材は厳しい」(斎藤シニアストラテジスト)という。
製造業で持ち直しの兆しが出てきそうなのは、今のところ半導体業界に限られる。ただ半導体市況の下げ止まりによる底入れへの期待感が広がり始めた段階だ。下期も米中の貿易交渉や世界経済の先行きに慎重な見方が多く、製造業の業績回復は20年度以降に持ち越される見通しだ。
(取材・孝志勇輔)
東証が24日時点でまとめた決算発表予定の集計によると、31日に全体の14%に当たる335社が開示する。決算集中日が11月8日で、同16%の388社が発表する。米中対立の長期化で上場企業の収益力が揺らいでおり、野村証券が9月に発表した企業業績見通しでは、金融を除く主要307社の19年度経常増益率が前年度比0・2%にとどまる。しかも19業種のうち経常利益を下方修正したのは14業種に上る。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の斎藤勉シニアストラテジストは、世界経済の不透明感を背景に「設備投資を控える動きが止まらない」と指摘する。川崎重工業が20年3月期の経常利益を前回予想比200億円減の410億円に下方修正した。ロボット事業が落ち込むのに加え、想定為替レートを円高に見直したのが響く。
自動車業界も販売不振や為替変動で業績が下振れする可能性がある。すでにスズキはインドの4輪車市場の低迷などで20年3月期経常利益を同1200億円減の2200億円に下方修正した。自動車各社にとっては中国市場の落ち込みも懸念材料だ。サプライチェーンの企業にも影響が広がり、「自動車向けの電子部品や素材は厳しい」(斎藤シニアストラテジスト)という。
製造業で持ち直しの兆しが出てきそうなのは、今のところ半導体業界に限られる。ただ半導体市況の下げ止まりによる底入れへの期待感が広がり始めた段階だ。下期も米中の貿易交渉や世界経済の先行きに慎重な見方が多く、製造業の業績回復は20年度以降に持ち越される見通しだ。
日刊工業新聞2019年10月28日