「微アルコール」が酒類市場で広がるワケ
酒類市場でアルコール度数1%以下の「微アルコール」が広がっている。3月に「ビアリー」を発売したアサヒビールに続き、サッポロビールが「The DRAFTY」を9月に発売する。アサヒはビアリーのびん商品など商品構成を拡充する。背景には新型コロナウイルスの感染拡大により健康志向が強まり、アルコール摂取を控えながらビールテイストを味わいたいという需要が高まっていることがある。(高屋優理)
サッポロビールが9月14日に発売する「The DRAFTY」はアルコール度数が0・7%。麦芽100%のビールに独自の調合と濾過を施すことで、アルコール度数を1%以下に抑えながら、本格的なビールの味わいを両立した。
微アルコールは適正飲酒を促す「スマートドリンキング」を提唱するアサヒビールが、新カテゴリーとして打ち出した。サッポロはアサヒが打ち出した新たなカテゴリーに参入する格好だ。
そのアサヒは3月に発売したアルコール度数0・5%のビールテイスト飲料「ビアリー」に続き、9月28日に同じくアルコール度数0・5%の低アルコール飲料「ハイボリー」を発売する。ハイボールの缶商品は現状、アルコール度数が5―9%と高めの商品が中心。ビールテイスト飲料に加え、ハイボールの缶商品を投入することで、商品を拡充し、微アルコールの定着を狙う。松山一雄専務執行役員は「低アルコール商品の選択肢を増やしたい」と話す
ビアリーでは、飲食店向けのびん商品を9月14日に発売する。家庭向けだけでなく、業務用でも微アルコールの拡大を目指す。
また、9月28日にビアリーの500ミリリットル缶をするほか、地域限定販売の「ビアリー 香るクラフト」を全国販売に切り替える。
サッポロビールの野瀬裕之社長は「コロナ禍で市場が変化している」と指摘する。酒類市場は飲食店での酒類提供制限により、市場全体が縮小。その一方、家庭向けでは、「糖質オフ」など機能性商品の構成比が高い発泡酒が市場を拡大するなど、健康志向の高まりが顕著だ。
微アルコールは度数は低いがアルコールが入っているため、飲めば運転はできない。また、病気などでアルコール摂取を止められている場合も飲むことはできない。微アルコールがどのようなシチュエーションで飲まれるのか、ニーズは未知数だ。
今後、メーカー各社は微アルコールの市場をどのように創り出していくのか、しばらくは商品開発などで試行錯誤が続くことになりそうだ。