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アルツハイマー病の新薬開発へ。京大が「アミロイド線維化」高分解能で過程観察

京都大学大学院工学研究科の白川昌宏教授と菅瀬謙治准教授ら研究グループは、アルツハイマー病や筋萎縮性軸索硬化症(ALS)などの原因とされる、たんぱく質の「アミロイド線維化」の過程を高分解能で観察した。せん断力を加えて線維化を促しつつ、分子の構造や状態を調べる核磁気共鳴分光法(NMR法)を行う「Rheo―NMR法」を独自に開発。発症の仕組みの根本的な解明や、線維化を抑制する新規治療薬開発につながる。

たんぱく質の「スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)」にせん断力をかけてアミロイド線維化を促し、たんぱく質を構成するアミノ酸由来である信号の強度変化を即時に観察して構造変化を捉えた。

特定の部分の信号強度が速く減少し、この部分から立体構造がほどけて線維化へと進むことが分かった。

次にアミノ酸の水素と水の交換作用を調べた。立体構造がほどけたSOD1で交換が抑制され、分子間の相互作用で線維の核ができると示唆された。

今後は新型コロナウイルス感染症を重症化させる一因である血栓を作るvWFたんぱく質にも開発した手法を応用し、性質の解明を目指す。

日刊工業新聞2021年7月20日

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