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人が近づけない場所のインフラを打音検査できるドローンの実力【動画あり】

筑波大が開発
人が近づけない場所のインフラを打音検査できるドローンの実力【動画あり】

壁に張り付いて打音検査するドローン(筑波大提供)

筑波大学の山口友之助教と望山洋准教授らの研究グループは、コンクリートの壁面や橋脚などを打音検査する飛行ロボット(ドローン)を開発した。帯鋼を曲げた反動を利用した機構を採用し、ハンマーを壁面などに打ち当てる。実験では壁を移動しながら最大1ヘルツの周波数で「コツコツ」と打撃できた。人が容易に近づけない場所にあるインフラ点検向けに採用を目指す。

独自の「スナップモータ」と呼ばれる機構は帯鋼を曲げて端を固定し、もう一端をモーターで回転させると帯鋼がたわんで開放されると同時に、瞬発的に反対側へ飛び出る。重さ60グラムと軽い機構ながら大きな打撃力が得られる。この力を利用して打音検査する。空洞のあるコンクリート材をたたく実験では、打音波形に空洞由来の信号を確認できた。

新型ドローンは壁面にタイヤを当て、同機構を壁に押しつける。ドローンは天井や壁面に近づくとプロペラの上下の気圧差で吸い込まれるように張り付く。この現象を利用して姿勢を安定化させる。壁に張り付いた状態での打撃を確認した。

今後はプロペラ音と打撃音の分離や、打撃力と正常・異常判定といった打音検査に関する技術開発を進める。これにより、橋やトンネルといったコンクリート構造物の点検、ビル壁面のタイルの浮き検査などへの応用を目指す。

日刊工業新聞2021年7月5日

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