配線作業の自動化に貢献するクラボウのAI活用法

3Dビジョンセンサー、認識性能向上に活用

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AI開発にロボットを活用し、データ収集を効率化

来春、製品実装

クラボウは線状物を認識できる3次元(3D)ビジョンセンサー「クラセンス」を展開している。周辺環境の変化への対応性や、ケーブルの認識性能の向上のため人工知能(AI)技術を開発中。すでに基本的な検証を終えており、2022年3月期内の製品実装を目指している。

クラセンスはケーブルのつかむ位置、つかむ姿勢と最適な経路をロボットに伝え、配線作業の自動化に貢献する。グループ全体の技術開発を担う「技術研究所」が16年から四つの新規事業プロジェクトに取り組み、クラセンスはいち早く事業化にこぎつけた。

クラボウは基板検査装置やシート外観検査装置など、画像検査装置を長年手がける。外観検査装置などの開発で培った高速画像処理技術と3D計測技術を生かしクラセンスを完成した。クラボウは画像処理技術とAI技術を融合し、クラセンスのケーブルの認識性能を向上させる狙いだ。

一般的な画像処理は背景や照明などの外的要因で対象物を検出できなくなることがある。照明の明るさや背景に映り込むものは工場によって異なりクラセンスも各現場に合わせた設定が必要だ。

だが技術研究所の大根尚樹統括主任研究員は「全て我々が出向いてプログラミングなどを設定していては、いつまでも事業として売り上げは上がらない」と話す。また、一般的な画像処理では重なり合った複数のケーブルを1本ずつ見分けられない点も課題だった。

課題を解決

クラボウはAI活用によりこれらの課題を解決し、クラセンスのメンテナンス性を向上させるほか、拡販に弾みをつけたい考えだ。データ収集ではロボットにケーブルを持たせ、さまざまなパターンでケーブルが重なるよう自動で動かし、効率化した。

3Dビジョンセンサー「クラセンス」を使用したロボットシステム。産業用ロボットの“目”となり、配線作業を自動化

AIの学習でも効率化を図った。少ないデータ数でAIを実際に動かし、AIが判断を間違った点を修正する方法を採っている。これにより学習に有効なデータを集めやすくなり、試行回数を減らすことにもつながった。

実験進む

開発中のAI技術では現在3本程度まで、ケーブルの束を1本ずつに分けて認識可能。製品実装に向け対応できる本数を増やすための実験を進めている。

現在のクラセンスは固定型だが、ロボットハンドに取り付けてさまざまな角度から対象物を見られるタイプも開発中。AIを搭載し、背景や明るさの変化に対応しやすくする。また、ケーブル先端に付いたコネクターの認識・挿入の自動化にもAIで対応していく方針だ。(大阪・友広志保)

日刊工業新聞2021年6月18日

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