東証マザーズ上場企業が実行する“ベンチャーとして”最適な組織の作り方
2020年12月、東証マザーズに上場したスタメン。HR(ヒューマンリソース)サービス「TUNAG(ツナグ)」を主力に16年設立以降、名古屋で事業規模を拡大してきた。規模が大きくなる度に“ベンチャーとして”最適な組織づくりを心がけてきた。(名古屋・濱田ひかる)
「我々は成長途中の会社。事業規模で組織を再定義していく必要がある」。コーポレート本部長の大西泰平取締役は、人事制度についてこう表現する。17年は15人ほどの会社だったが、今では70人まで増加。数年で組織の形が大きく変化した。
変化に対応するため意識したのが「透明性」だ。社員の給与体制や会社貢献への期待値は、社内で共有する。
「社員数が増えるにつれ、見えなくなる部分が増えてくる」(大西取締役)との危機感から「グレード表」を作成。本来、役員しか知らない情報を隠さず社員へ供給することで、社員への透明性を高めた。
期待値は明確に示す。例えば営業に該当する「セールス・インサイドセールス」で一番グレードの低い「G1」社員への期待値については「単独で完結できる業務はない」とする。
一方、リーダー格に位置する「G3」の社員に対しては、下のランクに属する社員教育や中小規模の案件の独自契約、安定的な成果の確保が求められる。
内部変化が大きいからこそ、社内だけに留まらない施策も取る。20年から他社に所属する人材を期間限定で受け入れるエッセンス(東京都中央区)の人材交流サービス「他社留学」を開始。20年8月から半年間、ニフコの開発者、原宏輔さんを留学生として受け入れた。大西取締役は「他メンバーにとっても刺激があり、新鮮な機会だった」と振り返る。今後も引き続き、留学生を受け入れる方針だ。
HR領域サービスを展開するスタメンにとって、人事制度は他社の見本になる必要がある。透明性や異文化の受け入れなど試行錯誤を繰り返しながら、今後も新しいHRサービスを展開していく。