画像IoTを知財で支える、コニカミノルタの「ジャンルトップ戦略」とは?
独占排他へ特許網構築
コニカミノルタは、プロダクト中心のモノ売りビジネスから、デジタル変革(DX)主体のソリューションビジネスへの転換を進めている。その基本戦略として取り組むのが成長を見込め、勝算がある領域に経営資源を集中し、領域トップを目指す「ジャンルトップ戦略」だ。DXと知財を活用し、強固な地位の確立に取り組む。(石川雅基)
ジャンルトップ
コニカミノルタは知財活動について、「知的財産戦略2017―19」「質向上のための戦略と施策」「人財育成のための戦略と施策」の三つの戦略に基づいて取り組んできた。
知的財産戦略では、持続性のある高収益体質を目指し、知財力の強化を進める。同社の松枝哲也上席執行役員は、「特許の本質は独占排他」と指摘する。これまで特許は、中身よりも件数で評価されることが多かった。これからは独占排他の実現を目標に、基本特許の獲得と差別化技術を守るための特許網の構築を目指すという。
次に、質向上のための戦略と施策では、特許資産を見える化し、定量的に評価できるようにする。「株主に対するアピールにもつながる」(松枝上席執行役員)。また「知財は人が全て」(同)との考えから、人財育成のための戦略と施策では、経営センスを兼ね備えた知財プロフェッショナル人材の育成に取り組む。
同社はDX戦略において、コア技術であるイメージング人工知能(AI)、センサーデバイス、IoT(モノのインターネット)プラットフォームを掛け合わせた「画像IoT」の進化に取り組む。「画像IoTを知財で支えることで、ジャンルトップを狙う」(同)。
例えば、同社はセンサーデバイスを用いたX線動態解析でジャンルトップをすでに確立しており、今後、このX線動態解析とイメージングAIを組み合わせることで、画像IoTとして発展させていく。その際、画像IoTのジャンルトップを確立するために、知財の活用が重要となる。
共創を促進
一方、松枝上席執行役員は「IoTや画像分野の知財活動は当社単独でできることではない」と現状を認識する。対象領域がデータやノウハウ、特許など多岐にわたるため、顧客、パートナーとの共創を促進する。
これまでの日本の知財戦略について、松枝上席執行役員は「もうかる分野に国内の多数の企業が群がり、特許を押さえることに明け暮れていた」と指摘した上で、今後は「世界で戦うための知財戦略が必要」と強調する。
各社が自社技術の強み、特徴を十分に掘り下げて理解し、それに基づいた「ジャンルトップ知財戦略を構築することが求められる。時にはパートナーとして手を組みながら世界で戦っていく」(松枝上席執行役員)とする。
ただ、「知財の重要性を十分理解している企業の幹部は少ない。経営に直結する知財活動を進めることが必要」(同)と課題を挙げる。そのためには、一層の知財の見える化や人財育成が重要性を増してきそうだ。