沖縄で木質バイオマス発電を本格化へ、パームヤシ殻の燃焼灰で土質改良材を開発
リュウクス(沖縄県うるま市、謝花一成社長)は、木質バイオマス発電の燃料に使用したPKS(パームヤシ殻)の燃焼灰を原料とする土質改良材を開発した。粘土状の土に混ぜることで水分を吸収し運搬などを容易にする。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)につながるPKSの再利用により、増加が見込まれる同発電の廃棄物を減容し、環境性向上につなげる。
開発した改良材はPKS灰に副資材を混合して改質効果を高めた。多孔質な灰の成分で水分を吸着するほか、水と結びついて生成した物質が土粒子の結合を強め安定する。セメント系や石灰系、無機系の改良材に比べて水分が戻りにくく、有害物質の不溶化も同等以上の性能を持つ。
副産物である燃焼灰を用いるため、原料費を抑えて価格競争力を持たせられる。低価格と環境性の高さをアピールして建設業者などに販売する。沖縄県内で年5000トンほど発生する見込みのPKS灰を調達して製品化する。
リュウクスはコンクリート混和材の専業メーカー。火力発電所で発生する石炭灰を使う混和材の製造販売を主力とする。沖縄での木質バイオマス発電の本格化を見据えて灰の活用策を模索していた。
カーボンニュートラル推進の動きにより全国で同発電の灰が発生するとみており、知的財産を協業先に開放する形で全国展開を見込む。同社はPKS灰をコンクリ混和材に利用する実用化も終えている。今後は石炭と木質バイオマスを混焼した灰についても活用を目指す。
日刊工業新聞2021年5月28日