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協同精機が開発、粉体塗装の多色塗り新技術が面白い

協同精機が開発、粉体塗装の多色塗り新技術が面白い

粉体塗装の多色塗り技術で試作したティッシュペーパーケース

協同精機(広島県福山市、新川政夫社長)は、主力の粉体塗装で木目やストライプといったパターン模様や、文字や絵などの自由な柄を多色で塗装する技術を開発した。製品のデザイン性や付加価値の向上につながるとして、新しい用途の開拓を進める。

木目や桜の花のパターン模様を試作し、顧客への提案を始めた。ほかにもストライプや水玉、チェックなど、自由な模様を多色で塗装できるという。

木目調の場合は2色を重ねて立体感を持たせており、塗膜の厚さは1色の部分が約80マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、2色の部分は約120マイクロメートル。

従業員がハンドガンで塗料を吹き付けて塗装する。文字や絵などの自由な柄も多色で塗装できる。パターン模様の作り方や前処理、焼き付けなど、具体的なノウハウは明らかにしていない。「塗装の技術はほぼ確立できた。今後の課題はいかにコストを下げるか」(新川社長)。

塗料に添加物を加えることで、さまざまなパターン模様を再現する「模様塗料」という塗料はすでにある。だが粉体塗装で、自由なパターン模様を多色で塗り分けるのは困難だったという。粉体塗装は塗膜が丈夫で割れにくいため、模様を塗装した後で鉄板を曲げるといった、新しい生産技術にもつながる。

協同精機は粉体塗装の専業で、工作機械や産業機械の筐体(きょうたい)の塗装を主に手がけてきた。デザイン性が求められる建材やスチール家具といった新しい用途の開拓につなげたい考えだ。

日刊工業新聞2021年5月26日

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