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日本ペイントが船舶用防汚塗料を開発、工程数は最大約4割減

日本ペイントホールディングス(HD)は、塗装工程数を従来品比最大37%低減できる船舶用防汚塗料「FASTAR」を開発した。22日に市場投入する。塗料を構成する樹脂材料の独自構造により、塗料中の防汚剤が塗膜表層に長くとどまり、防汚剤の溶出量を従来比最大50%以上低減できる。塗膜の厚さを減らし、塗装回数、乾燥時間を減らせる。船舶の保守費用を低減し、環境負荷も抑えられる点を訴求し、舶用塗料の主力製品に育てる。

船底用の防汚塗料は航行中に溶けていき、露出した防汚剤が溶出して効果を持続させるが、3―5年に一度の塗装が必要になる。

塗膜表層における防汚剤の効果(イメージ)

今回の新製品は日ペHD子会社の日本ペイントマリン(大阪市北区)が開発した。塗料に使う加水分解型樹脂に、親水部と疎水部が細かく混在する「親水疎水ナノドメイン構造」を初めて採用。塗料が溶ける速度を抑えて銅系の防汚剤を塗膜表層の樹脂中に拡散、維持しやすくし、防汚剤溶出量を従来比最大50%以上低減した。

塗膜の厚みは同社従来品比約3割減らすことができ、塗装工程の削減も可能になる。1万4000個積みの大型コンテナ船の塗装工程にかかる日数は、従来比4日少ない7日に短縮できる。

塗料価格は同社従来品より高いが、塗装費用全体を従来より抑えられるように案件に応じて設定する。防汚効果を維持できる連続停泊数は従来比約4割長い最大30日。樹脂にジェル状材料を混ぜて表面抵抗を減らす低燃費仕様も採用した。

日本ペイントマリンは今後3年間に年10%程度の売上高成長を目指している。今回の新製品は従来品の置き換えと販売シェアの拡大を進めて成長をけん引する主力製品に育て、3年後に売上高の約25%とするのが目標だ。

日刊工業新聞2020年1月22日

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