人件費は増えるが日本ペイントが管理職約650人にジョブ型雇用を導入する狙い
日本ペイントホールディングス(HD)は管理職約650人を対象にジョブ型雇用制度の導入を始めた。国内HD会社と主要事業会社6社の管理職の職務内容を明確にして、評価、報酬と結びつける。約1年かけて制度を準備し、2021年1月に運用を始めた。日ペグループが目指す事業戦略と管理職の職務の目標を合わせ、企業の成長につなげる。成果や問題点を検証しながら、より良い運用方法や制度設計を探っていく。
職務記述書は管理職の役割と職務の重要度を可視化し、客観的に評価するため、役割や目標を細かく明記した。従来は役員から部門長を経て各管理職に職務を指示していたが、標準的な内容や横並びの要素も多かった。
準備期間中に管理職へのヒアリングなどを実施して職務の評価を数値化した。報酬体系は競合他社を含む労働市場における職務の価値を調べ、職務記述書の内容と結びつけたという。目標、部下の数・国籍などが増えて、職務の難易度が高まると報酬が増える仕組みとした。
日ペHDは海外の塗料事業の買収を重ねて事業の規模拡大とグローバル化が急速に進んでいる。海外ではジョブ型制度を導入している地域も多く、今回の制度導入は国内の雇用制度をグローバル化に合わせる意味合いもある。
額は明らかにしていないがジョブ型の導入により管理職の人件費は増える。また21年は一律3%のベースアップ(約4億4000万円相当)を5年ぶりに実施するほか、新卒と中途の採用計画を20年比約2倍の345人に増やす。採用や人材育成の費用は20年比2倍以上に増やす計画で、人材への投資を増やす姿勢を明確にしている。
日刊工業新聞2021年2月19日