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建設機械大手4社すべてが今期増収を見込む、それでも大きな不安要因とは?

建設機械大手4社の2022年3月期は、油圧ショベルの需要回復で全社が前期比増収を見込む。ただ、不安要素もある。コロナ禍からいち早く回復した中国市場で反動減を予想。価格競争激化により各社の利益は細っている。新型コロナウイルス変異株の感染拡大もあり、投資に慎重なユーザーも多い。各社は遠隔操縦などの情報通信技術(ICT)や電動化対応など需要の取り込みを急ぐ。

コマツは22年3月期の中国の建機売上高を前期比11・1%減と予想。欧米の回復で補えるとみるが、気になるのが低価格競争が成長市場のアジアやインドへ波及する可能性だ。新興国では中国大手の三一重工などが低価格攻勢をかける。コベルコ建機を擁する神戸製鋼所の建機部門は減益予想の要因に中国の価格競争を挙げる。

新型コロナ変異株については、通期では大きな影響はないとみる。ただ最近のインドはロックダウン(都市封鎖)が多発しており「短期的に影響が出る可能性がある」(平野耕太郎日立建機社長)。感染拡大がインドネシアなどに飛び火すれば、利益率の高い鉱山機械に影響が及ぶ可能性もある。

遠隔操縦などICT建機開発はこれらの影響に対する処方箋になる。住友重機械工業は従来の建機や産業機械の部門を「ロジスティックス&コンストラクション」に再編した。港湾や建設現場一帯での自動化を提案するとみられる。コベルコ建機も遠隔操縦システムの開発を進めている。


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日刊工業新聞2021年5月19日

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