リース取扱高が35年ぶり低水準、新型コロナによる需要低迷響く
リース事業協会(リース協)がまとめた2020年度のリース取扱高(速報値)は、前年度比14・1%減の4兆5517億円だった。近年で最低だった10年度の4兆5553億円を下回り、85年度の4兆3225億円以来の低水準となった。主力機種の情報通信機器を中心に好調だった19年度からの反動減や、新型コロナウイルス感染拡大による設備投資需要低迷が響いた。
19年度は情報通信機器が、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」のサポート終了による「ウィンドウズ10」への更新特需に沸いたほか、消費税率引き上げ前の駆け込み需要があった。20年度はそれらの反動減に加え、コロナ禍で設備投資を控える動きが続いた。リース協は20年度取扱高について「設備投資が鈍い中で予想通りのボリューム」と総括した。
全9機種が前年度を下回り、リーマン・ショックの影響を受けた09年度以来の全機種マイナスとなった。情報通信機器は同14・2%減の1兆7417億円と苦戦。テレワーク、第5世代通信(5G)基地局など新規需要取り込みもあったが、OS更新特需の反動減を補えなかった。
工作機械が同20・6%減の955億円、産業機械が同15・2%減の4402億円など製造関連も低迷。自動車などの輸送用機器も、同12・1%減の6368億円と不振だった。
同時にまとめた3月単月の取扱高は、前年同月比2・3%減の6612億円で、4カ月連続減だった。この中で情報通信機器は同16・4%増の3095億円と、11カ月ぶりに前年を上回った。パソコンやソフトウエアの大口案件があった。更新特需の反動減から持ち直したかは不透明だ。
リース協は21年度の取扱高について「設備投資需要は回復する」と見通す。飲食などコロナ禍の影響を強く受ける業種の動きは引き続き鈍いが、コロナとの共存の中で、設備投資に意欲的な企業が増えると見込む。