創業100余年の食品卸が倒産、藁をもすがった先がパチンコ店という悲劇

渡邊商店、売り上げ減少に歯止めかからず

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主力得意先だったパチンコホールがコロナで営業停止、売り上げが6割も減少(写真はイメージ)

食品卸の渡邊商店は、1月25日に関連の南国商事とともに破産手続き開始決定を受けた。同社は1917年に東京・神田で創業。関東大震災後、埼玉県に移り地域のパン菓子店、スーパーマーケット、二次菓子問屋向けに菓子などの食品類卸を手がけるようになり、80年代には年商17億円を計上していた。

国から高度化資金1億円を借り入れ、総額3億円にのぼる借入金を抱えたが、当時は差したる負担ではなかった。88年7月には関連会社の南国商事を設立。本店隣に酒、果物、菓子、食品類のディスカウントストアを開設し業容拡大を図った。

90年代に入るとコンビニエンスストアやスーパーが台頭し、次第に得意先の業況が低迷したことで同社もジリ貧となり、年商は10億円程度にまで落ち込んだ。新たな販路として開拓したのがパチンコ業界だった。

パチンコホールとの取引拡大で売り上げ減少に歯止めがかかったかのように感じたのもつかの間、パチンコ市場の縮小とともに同社の売り上げは再び減少に転じる。年商は06年6月期で6億4000万円と下降線をたどり、利益も僅少にとどまっていた。

12年3月には社有不動産を売却し借入金の返済に充てたがなお2億円超の借入金が残った。年商が5億円台に減少していた同社にとっては重い負担だった。赤字決算が常態化するなか、埼玉県経営改善支援センターに支援を依頼し経営改善計画を策定。各金融機関も借入金返済のリスケジュールに応じ、返済も少しずつ開始していた。

しかし、20年2月ころに主力得意先だったパチンコホールが新型コロナウイルス感染症の影響により営業を停止したことで足元の売り上げが6割も減少、資金繰りが逼迫(ひっぱく)しやむなく9月に事業を停止した。これから経営改善を実行していこうという時期に新型コロナの影響がダメ押しとなり、100余年の歴史に幕を下ろした。

(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2021年4月29日

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