炭化ケイ素製「特殊ねじ」、鍋屋バイテックがパワー半導体や航空用途に量産化
鍋屋バイテック(岐阜県関市、岡本友二郎社長)は、炭化ケイ素(SiC)製の「特殊ねじ」を開発した。耐熱性、耐薬品性に優れ、高硬度という特性を生かし、次世代半導体として期待が高いパワー半導体関連や、航空宇宙関連での採用を提案する。2021年度末の量産化を計画し、初年度1億円の売り上げを目指す。
車載部品など、さまざまな環境下で使われる部品の増加に伴い、従来にない特性や機能を備えた特殊ネジの需要が高い。
鍋屋バイテックは、薬品や熱などに耐性を持ち、軽量化が可能なSiCに着目。市販品がなかったことからSiC製「特殊ねじ」の独自開発に踏み切った。
製造方法の開発では岐阜県セラミックス研究所などと協力した。独自のノウハウでカーボンやシリコンなどの材料を調合。ネジ形状に成形した後に焼成、研磨などの工程を経て仕上げる。
本社敷地内の新工場に専用スペースを設け、既設の工作機械のほか、攪拌(かくはん)機、脱泡、調合などのセラミックス材料製造設備を導入した。月産2000本程度の高温型真空置換式雰囲気炉を導入予定で、製造設備投資額は2000万円。
人員は3人でスタートし今後増員する。専門組織化も視野に入れている。「特殊ねじ」のラインアップを増やすとともに、ネジ以外の機械要素部品などにも技術を応用する考えだ。
同社は99年に「特殊ねじ」事業に参入した。半導体関連を中心に受注は伸びており、20年度は前年度比10%以上の成長を見せている。
日刊工業新2021年3月29日