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「食を通じて人を幸せに」社員食堂や学生食堂の運営を手がける勤労食の試み

「食を通じて人を幸せに」社員食堂や学生食堂の運営を手がける勤労食の試み

野菜の皮や葉をうまく活用した「エコ粥(がゆ)」(勤労食提供)

社員食堂や学生食堂の運営を手がける勤労食(愛知県刈谷市、浜崎直司社長、0566・22・8151)は、食を通じた企業の社会的責任(CSR)活動を推進している。自社で運営する食堂では環境の負荷が少ないメニューを積極的に導入。他企業と協業し、食べられるスプーンの開発や食育イベントも手がける。浜崎佳寿子常務に取り組み状況や今後の方針を聞いた。

―CSR活動の考え方を教えて下さい。

「『食を通じて人を幸せにする』が当社の企業理念だ。食を提供する企業として、フードロス削減やフェアトレードの実践、食育の普及などを中心に活動している。当社が手がける食堂は全て現地で調理、加工している。人材も食材も現地で調達し、フードマイレージを低減している。こうした姿勢は1964年の創業時から変わっていない」

―提供するメニューへのこだわりはありますか。

「飽きが来ず、おいしいのはもちろん、環境問題を考える契機になるメニューを提供している。名古屋市役所内の『バランス食堂イコット』では、フェアトレード認証の食材を使用したメニューを提供している。通常、廃棄する野菜の皮や葉を活用した『エコ粥(がゆ)』の提供も始めた。利用者が身近な選択肢でフードロスに参加できる仕組みだ」

―他業界の企業との協業も進めています。

「定期的に自動車販売店へ出張し、フェアトレード認証の食材や地元の食材を使用した食事を提供している。ほかにも菓子メーカーと協業し、当社の管理栄養士が監修した可食スプーンを販売している。プラスチックの削減に貢献できるほか、栄養価も高い。今後も他業種と協力し、より多くの人に考えを広めたい」

―今後、どんな活動を考えていますか。

「次世代を担う子どもたちに対し環境問題や食事の大切さについて考える機会を作りたい。近いうちに規格外の食材を使った親子向け料理教室の開催を予定している。幼い時の経験は強く印象に残るので、こういった取り組みを増やしたい」

(名古屋・岡林里奈)

日刊工業新聞2021年3月24日2021

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