カラー映像を高速投映できるプロジェクターが登場、プロジェクションマッピングが進化する!
東大などが開発
東京大学の石川正俊特任教授と東京工業大学の渡辺義浩准教授らは、タオルや水などの対象物の変形に合わせカラーの動画を投映できるプロジェクターを開発した。毎秒947コマの速度で24ビット階調のカラー動画を対象物に投映し、立体物に映像を張り合わせる技術「プロジェクションマッピング」を実現できた。コンサートイベントのショー演出などの活用が期待される。企業と連携し市販化の準備を進めている。
従来のプロジェクターはスクリーンなどの静止した物体への投映を前提としている。毎秒30―120コマの動画の投映が主流で、動く対象物に投映するには速度が足りなかった。一方、変形し高速で動く対象物にプロジェクションマッピングする技術はあったが、白黒の動画しか投映できなかった。
研究グループは、高速変調と高輝度化を両立できる光源デバイスを導入。さらに出射光量の損失を抑えた光学系システムを開発した。24ビット階調のカラー映像を毎秒947コマの際に200ルーメン(ルーメンは明るさの尺度)、毎秒500コマであれば800ルーメンで投映できる。さらに8ビット階調の白黒の映像であれば、毎秒2841コマで850ルーメン、毎秒1000コマで3000ルーメンでの投映が可能。
プロジェクションマッピングやデジタルサイネージ(電子看板)、拡張現実(AR)など実世界の物体へ映像を投映するプロジェクター技術の重要性が高まっている。さらにロボットなどの産業応用でもプロジェクターから対象物に映像を投映しカメラで捉える画像センシングシステムの開発が進んでいる。
日刊工業新聞2021年3月1日