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東大が子宮内膜症のうち0.5%の「希少症例」報告!適切な診断や治療に

東京大学大学院医学系研究科の研究グループは、子宮の内側にある粘膜に似た組織が子宮外で増える疾患「子宮内膜症」の希少症例を報告した。女性診療科・産科や放射線科、大腸・肛門外科などの複数の診療科が連携し、病歴や磁気共鳴断層撮影装置(MRI)画像などの所見から、胃から垂れ下がり腸の前面を覆う腹膜「大網」に発生した「大網子宮内膜症」と診断。腹腔(ふくくう)鏡手術で腫瘍を摘出し、良好な経過をもたらすことに成功した。子宮内膜症の適切な診断や治療に役立つと期待される。

子宮内膜症は生殖年齢の女性の10%に発生すると推定され、月経痛や不妊症、卵巣がんなどと関わっている。子宮内膜症の多くは子宮付近にある女性生殖器に発生する。

一方、生殖器以外の場所に発生する「希少部位子宮内膜症」は子宮内膜症患者全体の0・5%程度とまれな疾患であるため、診断がつきにくく治療を困難にしている。

5年前に卵巣子宮内膜症の手術歴があり、月経時の下腹部の痛みで東大医学部付属病院を受診した37歳の女性患者を診断。コンピューター断層撮影装置(CT)とMRIの画像から、患者の下腹部に分泌物がたまった直径4センチメートルの袋状の病変を発見。腫瘍は大網の下部にあり、腹腔鏡下で腫瘍を取り除いた。

術後経過は良好で、術後2年弱が経過したが、再発はしていない。

成果は18日、米医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載された。

日刊工業新聞2021年2月20日

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