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東芝・ホンダ・デンソー・日本製鉄・三菱重工...大手企業はテレワークをどう使いこなす?
2度目の緊急事態宣言で、企業は一斉に対応を迫られる。ただ大半の企業が前回の宣言時にテレワークなどの対策をすでに講じていたことに加え、今回は対象が限定されていることから、今のところ混乱は見られない。むしろ「(テレワークは)社員が成果にこだわって自律的に働くことで会社の成長につながる」(ENEOSホールディングス)というように、ニューノーマル(新常態)の働き方をさらに後押しすることにもなりそうだ。
目安から必達
東芝は工場を含めた国内事業所で50%以下としている出社率目標は変えないが、その表現を従来の「目安」から「必達」に強めた。リコーは在宅勤務の対象者や利用日数に関する制約を2020年10月に撤廃。ブリヂストンも同10月にテレワーク制度を改訂。週3回までの上限や対象者の制限を撤廃し、1回200円のテレワーク手当も新設した。出光興産は20年12月に移転した東京・大手町の新本社オフィスで、働き方改革を進めるため固定席を廃止した。座席数もリモートワークを前提に在籍者の50%程度に抑えている。
ジュピターテレコム(JCOM)は本社で70%以上を在宅勤務とする予定だが、コールセンターでも問い合わせ電話を会社支給の携帯電話で受電できるシステムを導入済み。すでに一部で在宅勤務を実施しており、今後拡大していく考えだ。テレワークがすでに非常時の働き方ではなくなってきた。
全て在宅勤務
自動車では、ホンダが東京、和光、朝霞地区の事業所と埼玉製作所の間接部門について、業務に支障がない範囲で原則在宅勤務とした。三菱自動車は本社地区の出勤基準について従来は原則週1回以上の出社だったが原則在宅勤務に見直した。日野自動車はテレワーク可能な社員については出社率20%が目標。テレワークを徹底するため臨時サテライトオフィスも一時閉鎖する。いすゞ自動車は本社の出社率の目安を従来の30%から20%へ見直し、藤沢工場(神奈川県藤沢市)などの生産拠点でも生産部門以外では出社率を50%とする。
SUBARU(スバル)は本社と東京事業所(東京都三鷹市)を対象に3―5割程度の出社率を維持してきたが、政府の緊急事態宣言を受けて、より強い在宅勤務を推奨。デンソーは対象地域で出社率を30%に抑える。ダイハツ工業は工場を除いた事務部門を中心に40%以下に抑えており、現時点ではこの取り組みを継続する。
化学では、三菱ケミカルが東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県でオフィス勤務する社員を原則テレワークとする。すでに出社率は20―30%を維持してきたが、さらに徹底。旭化成も直近で上限50%としてきたが1都3県オフィス勤務者の出社率を30%に引き下げる。住友化学は東京本社勤務者を対象に自宅勤務が可能な社員は在宅勤務とする。東レは東京本社の出社率30%を努力目標とする。帝人は東京本社でテレワークを徹底し、現在は50%としている上限出社率を20%以下とする。
【鉄鋼でも推進】
鉄鋼では、日本製鉄が在宅勤務について従来の「活用する」するから「最大限活用する」に対応を変更。JFEスチールは本社の出社率がすでに50―60%程度。川崎市川崎区と千葉市中央区の製鉄所でも業務上可能な社員については在宅勤務を推奨している。
そのほか、日立建機が本社の在宅勤務率の目標を70%程度から80%程度に引き上げた。三菱重工業は1都3県で出社率を30%以下に抑え、IHIは同地域の事務系社員で可能な業務は原則在宅勤務とする。昭和電線ホールディングスは同地域で出社率を現在の50%から30%に、日本ペイントホールディングスはグループ全体の事務系社員を中心に出社率を30%から20%へそれぞれ引き下げる。
中小、宣言に一定評価も不満高まる 遅い対応に先行き憂慮
日刊工業新聞社が、政府の緊急事態宣言の対象となった首都圏1都3県の中小企業経営者に実施した意識調査では、宣言の再発出に理解を示す一方、対応の遅れを批判する声が上がった。景気の悪化が想定される中、中小は生き残りのため資金繰り支援の拡充を求めている。(最終面に「中小経営者の声」)
「政府や政治家、関係機関の対応に、もどかしさを覚える」と、日本耐熱線工業(川崎市中原区)の石塚敏夫会長は不満を漏らす。新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない中、宣言発出に一定の評価を与える声もあるが、「対応が遅すぎる」(市川ソフトラボラトリー〈千葉市美浜区〉の市川芳邦社長)との指摘は多い。
オリエンタルエンヂニアリング(東京都荒川区)の小崎一雄社長は「モノづくりの世界でも廃業を決める外注業者が出てきた」と先行きを憂慮する。コロナ対策の長期化が避けられない中、政府に強力なリーダーシップを期待している。